島国日本の生命線、国際物流のインフラを破綻させないために

Shippioは、日本におけるデジタルフォワーダーの先駆者的存在として、2018年12月から事業を展開する。貿易業務を効率化するクラウドサービスとフォワーディング業務をワンストップで提供し、フォワーダーとしての業務はデジタルの力で効率化。陸送・海上輸送・航空輸送や通関などの国際物流にまつわる、さまざまな業務を顧客である荷主に代わって一貫して行う。

貨物の輸送状況や貿易書類、連絡先などはクラウドサービスの「Shippio」上で一元管理。荷主は貨物の位置や状況のほか、見積もり費用や貿易書類、請求書などをクラウド上で確認でき、生産性向上や業務の負担軽減を図ることができる。

ウェブ上で見積もり・発注を完結
ウェブ上で見積もり・発注を完結
大量の貨物のスケジュールも一括管理
大量の貨物のスケジュールも一括管理

 

船舶の航海状況・スケジュール(本船動静)は地図上でトラッキングできる
船舶の航海状況・スケジュール(本船動静)は地図上でトラッキングできる
輸出入に必要な大量のドキュメンテーションもクラウド上で管理可能
輸出入に必要な大量のドキュメンテーションもクラウド上で管理可能

貿易業務特化型のバーティカルSaaSとしてのサービス提供ではなく、国際物流に携わってきた人員をオペレーションチームとして抱えるShippio。チームとのコミュニケーションはチャットで行うことができ、関係者への情報共有や、荷主と納品先との三者間チャットも可能だ。第一種・第二種貨物利用運送事業者をはじめとする許認可取得や国際貨物輸送の業界団体への参加も行い、単純なSaaSの提供のみならず、フォワーディング実務も手がける点を特徴としている。

佐藤氏は、国内フォワーディング市場規模を3〜4兆円、獲得可能な市場全体の規模(TAM)は「グローバルフォワーディング市場へ事業を広げていけば20兆円、国内の倉庫やトラックなどの物流へ伸ばすと25兆円」と非常に大きいものと見ている。

「島国である日本では輸出入は絶対になくなりません。貿易あるいは国際物流のインフラは生命線ともいえる産業です。EC化率が上がると取引量も右肩上がりに増えていきます。一方で物流というのは基本的に人の手によって解決されてきましたが、労働人口は右肩下がりです。今後必ずその間の差が広がっていき、開きすぎると破綻する。このスペースをソフトウェアの力で消しにいけないか、というのが僕らの考えている事業の方向性となっています」(佐藤氏)

国際物流を巡る情勢が複雑さを増す中、国際物流のDXへのニーズは高まっている。Shippioもサービスリリース以降、事業を順調に成長させ、2022年7月末時点での受注高が前年同月比の約4倍という伸びを示すまでになっている。現在は42カ国の拠点と日々やり取りを行い、約100社の顧客を抱える。クライアントには商社のほか、化学、製薬、食品や家具などのメーカーなども顔をそろえる。