──そのキーワードを選んだ理由を教えてください。

メタバースやWeb3・GameFiは2022年初頭から一気に盛り上がったと同時に、後半は、ハコだけ作ったものはあまりうまくいかなかったり、FTX破綻があったり、一旦の幻滅期に入ったのかなと感じました。一方、画像生成AIやChatGPTの凄まじい盛り上がりを見ていると、AIは、「AI」と意識されることなくマスの社会変革に直接的な影響を及ぼす局面に完全に入った印象で、ハイプサイクルの原理が今も変わらず存在するとも感じました。

また、VTuberに関してはカバーとANYCOLORの凄まじい成長ぶりが認識されるなど、2018年のブームがただのブームで終わらず、マスに受け入れられて明確な成長産業・輸出できる国家競争力になりました。Web3も長い目では同様の変革をもたらしていくのでしょう。

インフレや円安は、ロシアのウクライナ侵攻という2021年時点では予想もしなかった事件が世界中に波及したという意味で、世界は人類史上かつてなく密接につながっているということを強く実感させられる事象でした。

──2022年の動きを踏まえて、2023年に個人的に期待している領域、またどういった領域がトレンドになると思いますか?

弊社はゲーム配信プラットフォームを展開しているのですが、「ゲームとゲーム実況の融合=ライブゲーム」は、この記事を読んでいる人たちがイメージしている以上のトレンドになりそうです。世界中で市場拡大がさらに進むゲーム産業において、10年後にゲーム実況でコメントしかできないことはありえないと思っていたので、自明の進化だと思っていましたが、アーリーアダプターのユーザーがまったく違和感なく、特に意識せず当たり前のものとして熱狂的に楽しんでいることから確信を深めています。皆さんが想像しているものとちょっと違う形になりそうなのもワクワクしております。

また、2023年に限らない話ですが、大きなトレンドとしては「安く・早く・高品質」の物質価値が十二分に満たされていく中で、感情報酬、物語・ナラティブを生みだす商品やサービスの価値が年々高まっています。エンパワーメントされたクリエイターやコミュニティと共創し、ナラティブの増幅装置になることが、Web2かWeb3かの前に顧客価値の観点でより重要になっていくと考えています。関連して、「オーセンティック」なもの、顧客側の尊厳を尊重するブランドが価値を高めるという流れが続くと見ています。