一方、広告エージェントやコンテンツ制作は、当社のコアをなす事業で、売上も人数規模も大きい。ここにジョインしてくる部隊については、どこかの段階で一体化した方がシナジーを出しやすくなる可能性もあると考えています。

及川:昨年、Viibarさんから譲受したコンテンツプロデュース事業がまさにそのケースですね。これまでで一番大型のM&Aだったと思いますが、PMI(Post Merger Integration、M&A後の経営統合のプロセス)はどのように進められたのですか。

渡邉:いわゆる「100日プラン」を実行しました。3カ月間のうち、ざっくり前半は「経営」と「業務」、後半は「組織」と「意識」の融合を進めたかたちです。タスクごとに双方の幹部陣が対等な人数ずつ参加し、全体プランに沿って動かしてきました。

及川:その成果が「1年弱で売上1.3倍」になったわけですね。

渡邉:Viibarさんから迎えた部隊は、16人の大部分が制作系の人材なんです。そこにBitStarの営業機能を掛け合わせたことで、早いタイミングでアップセルにつながりました。一方で、先方のプロデューサー陣は実力者ぞろいで、切磋琢磨してBitStar側のレベルを引き上げてくれています。職種の定義や評価基準については、BitStarの方でもブラッシュアップの機会になりました。

今では完全に組織も一体化していますが、M&A起因による退職者は1人も出ていません。PMIとしてはうまくいったのかなと思います。D2C事業も含め、今までM&Aで辞めたメンバーはいないですね。

及川:BitStarさんの柔軟な受け入れ姿勢があったからこそですね。100日プランでは「意識」の融合も図ったとのことですが、BitStarさんには熱狂的と言ってもいいような、熱いカルチャーがあると感じています。社員総会などには、M&Aでジョインした皆さんも参加するのですか。

渡邉:参加してもらっています。グループにいる意味って、僕は究極的には人間関係をどれだけ構築できるかだと思っていますから。横のつながりをつくれる機会は、意識的に設けています。

社員総会も進化させていて、直近の回は全体的にインタラクティブに進めました。一方的な発信は全社戦略と新ビジョンの説明くらいにとどめ、残りのプログラムはほぼグループディスカッションに費やしました。そうしたら、参加者の満足度が2倍弱に爆上がりしたんです。