2020年のサービスローンチから現在までの累計導入社数は300社。これまで7000カ所以上の現場で活用されてきた。
ホテル経営のルートインジャパンや飲食チェーンのロイヤルフードサービスなど、大手企業が数百店舗規模で取り入れる事例も徐々に増加。セブン‐イレブンおよび日本デリカフーズ協同組合(セブン‐イレブン向けの食品を製造するメーカーが加盟する団体)と進めてきた取り組みは139工場まで広がり、全工場のうちの8割近くでカミナシが導入されるまでに広がっている。
紙の帳票が残る現場、デジタル活用で変革
セブン‐イレブンで販売しているデザートやサンドイッチなどの商品を開発するプライムデリカは、カミナシを用いて現場のDXに取り組む1社だ。
1日に平均で17万食を製造する同社の佐賀工場では、紙帳票の印刷、配布、回収、チェックをデジタル化したことにより、作業時間を約10分の1程度まで減らせたという。工場内では約300台の機械設備が稼働しており、これらの始業・終業時点検をカミナシに切り替えるだけで3時間の削減につながった。
また同工場では100人以上の外国人従業員が働いている。カミナシに搭載されている多言語翻訳機能を使ってアプリ上のチェック項目を翻訳することで、彼ら彼女らが点検作業を担えるようになった──。そのようなデジタルの強みを活かした効果も生まれている。
「現場では紙をベースとしたアナログな作業が今でも残っています。紙で作られたチェック項目を見ながら、手動で記録を残す。その後工程では、管理者の人たちが目視でその内容を確認し、承認しなければならない。多い現場では1日に200枚ほどに及ぶこともあります」
「さらにそのデータをExcelに転記して、報告書にまとめていく。最初の入り口が紙であることによって後工程も含めて非効率になっているので、カミナシではそれらの業務をデジタル化する仕組みを提供してきました」
カミナシ代表取締役の諸岡裕人氏は現場の課題をそのように説明する。
紙の帳票を電子化するようなシステム自体は、決して真新しいものではない。既存サービスの中には豊富な機能を取り揃えたものも存在しており、ITの扱いに長けた企業を中心にそのようなサービスが選ばれてきた。
その反面、多機能で複雑であるがゆえに、ITに慣れていない人にとっては「使いやすさ」がネックになることもあった。専任のIT担当者がいないような現場も珍しくない中で、「現場の担当者が使いこなせるツール」であるかどうか。カミナシではその点にこだわりながら、プロダクトの開発とサポート体制の整備を進めてきた。