シン代表取締役の大見周平氏はディー・エヌ・エー(DeNA)の出身。個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」の事業責任者や、子会社であるDeNAトラベルの代表取締役社長などを務めてきた。DIAMOND SIGNALではその前身媒体(現在は記事をSIGNAL内に移行)でシンの創業についても取材している。
その際にも触れているが、DeNA時代は渋谷の一等地(渋谷ヒカリエ)に勤務しているにもかかわらず、多忙なせいで食事を疎かにしていた。その経験や、日本の食文化を大切にしながら世界に誇れるサービスを作りたいという思いから、大見氏はフードデリバリーサービスで起業するに至った。
まとめて注文することで、配達コストを削減する
冒頭に挙げたUber Eatsや出前館など、複数のフードデリバリーサービスが乱立しているが、後発のChompyにはどんな特徴があるのか。
1つの目玉機能となるのが、「らくとく便」だ。これは生協などの生鮮食品の配達のように、近場の注文をまとめて届けることで配達コストを抑える仕組み。昼は10時59分、夜は17時59分までに注文すれば、1時間後以降の決まった時間に、配達料無料で料理を届けてもらえるというもの。
配達員が複数の飲食店の料理を中継地点まで運び、それをほかの配達員が自動車でまとめて各家庭に配達する。例えば5件の注文があった場合、通常なら5人の配達員が飲食店を経由してユーザーのもとに向かわなければならないが、らくとく便の場合は飲食店から中継地点まで料理を運ぶ配達員と、そこからまとめてユーザーを巡る配達員だけがいれば済む。
また、グループ注文にも対応する。同じ場所へ配達を行う場合、2人以上の注文で配達料が無料になり、4人以上の場合は幹事に5%のキャッシュバックが行われる。もともとオフィスなどでのグループ注文を想定してアプリを設計しており、複数ユーザーでカートを共有してメニューを選択するといったことにも対応する。コンビニ食が多くなりがちな渋谷周辺のビジネスパーソンのランチの選択肢としても好評で、ベータ版では週次の課金リピート率は約40%にものぼったという。
フードデリバリーの注文を躊躇する最大の要因は、高額な手数料だ。フードデリバリーではユーザーが支払う配達料に加えて、飲食店が負担する手数料が料理の価格に上乗せされることがほとんど。その結果、飲食店の店内で同じメニューを頼んだ場合と比べて、3割以上高額になるケースがほとんどだ。これに対してChompyでは、らくとく便を活用してもらうことで、配達コストを下げることを狙う。配達料を下げることで注文量が増えるのであれば、結果として飲食店からの手数料が増え、収益を確保できる。これで、ユーザー、飲食店、Chompyの「三方良し」のフードデリバリーサービスになることを目指す。