多様性に対応し米国での支持を獲得

──米国ではどのようなユーザーがSmartNewsを使っているのでしょうか。

米国では、もともとのコアなSmartNewsユーザーは“ニュース好き”の人たちでした。色々なニュースを比較して読む人たちです。

最近では、米国の様々な郡に住む多様な人たちがナショナル(全国)とローカル(地域)、両方の情報を得られて便利だから使いたいという人たちが増えてきています。

SmartNewsの米国版はローカルニュースの配信に注力している 撮影:菊池大介

米国には50の州があり、その下に約3100の郡(カウンティー)があります。郡は日本で言うところの市町村1つに相当する人口規模があります。その各郡単位に関する情報を配信するチャンネルを米国版では用意しています。

SmartNewsではあらゆるジャンルのニュースを扱っていていますが、米国では特にローカルニュースの配信に注力しており、専用のチャンネルをトップのすぐ隣に配置しています。

ローカルニュースのチャンネルでは、ユーザーの住んでいる地域に関するコンテンツが配信されます。天気予報からコロナウイルスに関する情報までワンストップで見られるところが、米国のユーザーに受け入れられているのだと思います。

日本でも市町村ごとの情報に対するニーズがありますから、今後、日本でも適応される可能性はあるかもしれません。ですが、米国と日本では国土の広さも多様性も全く異なります。日本ではみんなが同じコンテンツを見ている。米国は文化的な多様性も国土も大きいため、日本よりも(ローカルニュース配信の)ポテンシャルは大きいと言えるかもしれません。

ローカルメディアは集客や収益化に苦しんでいると思います。ローカルメディアの読者は狭い地域に住む人たちに限定されがちですが、SmartNewsではその幅を少し広げてレコメンドし、配信しています。結果として、ローカルメディアのオーディエンスデベロップメントと広告収益に貢献しています。

米国でも日本と同様に収益分配のプログラムがあり、いくつかのローカルメディアが参加している状況です。今後はそれも加速させていきたいと思っています。「オーディエンスを作る」というところが、SmartNewsが最も貢献できる部分だと思います。

──日本と米国のユーザーにはどのような違いがありますか。

僕は米国で20ほどの州を訪れ、多種多様な人たちと話したり交流をしてきました。そこで気付いたのは「(パターン化されているという意味での)典型的な米国人」など存在しないということです。そのため、SmartNewsを日本と同じやり方で広めようとしても、米国の人たちには受け入れられない。