多様性にどのように対応していくかを考えて、3年前に「FOR YOU」という機能をリリースしました。これはユーザーごとにパーソナライズされたコンテンツを配信する機能です。

ですが、パーソナライズを強化すると、今度はフィルターバブル(検索エンジンなどのアルゴリズムによって、ユーザーが自分の興味ある情報にしか触れられないこと。結果として情報の断絶が起こる)によって視野が狭くなるという問題が出てきます。

政治的分極化(ポリティカルポラライゼーション)が進む中、我々はこの問題の解決に貢献したいと強く願っています。そこで「News From All Sides」というスライダーの機能(編集部注:画面下の「Political Slider」というスライダーを左(リベラル)右(コンサバティブ)に動かすことで、表示される政治ニュースが変わる)を去年、提供開始しました。

4年前の大統領選挙の以前から、リベラルとコンサバティブのコンテンツを両方とも配信するなど、バランスを取った編成はしていましたが、それをユーザーにより強く実感してもらえる機能がNews From All Sidesです。

FOR YOU、News From All Sides、そしてローカルニュースの配信が、アメリカの多様性に対応する鍵となっています。

コロナ禍でアクティブユーザー数は倍増

──コロナの感染拡大はユーザー獲得につながりましたか。

米国での成長は好調です。日本では2月中旬、米国でも3月の上旬くらいに新型コロナウイルスの特設チャンネルを作りました。その後に大きな第一波が米国を襲い、人々がコロナに関する情報を集めていたということもあり、かなり急速にユーザー数が増えました。

アクティブユーザー数はコロナ以前と比較して倍以上です。新規ダウンロード数もかなり伸びていて、コロナの感染が急速に広がった3〜4月の新規ダウンロード数は特に多かった。コロナに加えて、ブラック・ライヴズ・マターや大統領選挙など、米国では国民の関心がこのような情報に向いています。ニュースに対する関心が既存ユーザーも含めて非常に高くなっている状況です。

コロナに関する情報は米国全体の国レベルの情報に加えて、郡単位のローカルな情報も積極的に配信しました。結局のところ、人々にとって一番関心があるのは、自分たちの周りで何が起こっているか。郡ごとの情報を配信するチャンネルを早い段階で提供開始したことが、新たな米国ユーザーに受け入れられた理由だと思っています。