──事業成長についてはいかがでしょうか。
広告単価自体はコロナの影響で下がっています。一方でニュースを読みたいというニーズは強く、滞在時間が延びています。それで打ち消しあっているような状況です。
広告主もコロナに直面して意志決定が大変だと思いますが、(出稿先に)選ばれる場として存在感を出していきたいです。
──米国を皮切りに日本でもメディアのサブスクリプション化が起こっています。この動きはSmartNewsにどのような影響がありますか。SmartNewsがメディアのサブスクリプション機能を担うようなことを検討していますか。
メディアのサブスクリプション化の流れは強く感じています。ですが、僕はサブスクリプションモデルと広告モデルは共存する世界になっていくだろうと思っています。
全てのコンテンツがサブスクリプションになってしまったら、無料で読めるコンテンツはなくなってしまう。そうすると、お金を払える人しか良質なコンテンツにアクセスできない社会になってしまします。
それでは社会の分断が進んでしまう可能性があります。一方で、サブスクリプションモデルでなければ維持できないコンテンツのエコシステムもあります。ですがそれは広告モデルと共存していく。
SmartNewsとしてサブスクリプションを提供する予定は現時点ではありませんが、メディアのオーディエンスデベロップメントに貢献させていただき、その先で各社がサブスクリプションに登録するユーザーを増やしていくということを、支援できたら良いなと考えています。
ニュースアプリから“情報インフラ”へ
──ニュースのプラットフォームとも言えるSmartNewsが果たすべき役割はコロナを契機に変わりましたか。
僕たち自身でSmartNewsを「プラットフォーム」と呼ぶことはしていません。提供しているのはあくまでもニュースアプリです。
コロナをきっかけに変わったことは、「自分たちの仕事は重要なんだ」という自覚が一層高まったことです。ここ半年は社員が一丸となってミッションに取り組む期間となりました。一刻でも早く正しい情報を配信できる仕組みを作っていくために、一カ月で15回ほどのアップデートを実施することもありました。
米国ではエッセンシャルワーカー(人間が社会生活を維持する上で不可欠な仕事に従事している労働者)という言葉があります。僕たちは危機的な状況であるからこそ、インフラとして情報を配信し続けなければならない。そして正しい情報を配信しないといけない。