「やはり香りなので体験してもらうことは、とても重要です。もともと考えていた売り方が実現できないと分かったときに、香水に囚われることなく商品自体をニーズに合わせて変えていけばいいのではないかと思いました。コロナ禍で“おうち時間”が増えていて、生活様式の変化も変化している。それに合わせてハンドソープやルームフレグランスなどの商品を考えた中で、今の社会情勢にもマッチしていて、なおかつ競合が少なく今まで作り込んできたコンセプトが合う商品が除菌スプレーでした」(鈴木氏)

オードパルファムのデザインやコンセプトも完成し、発注も間近のタイミングだった今年の4月頃に企画内容をピボット。除菌スプレーの開発に取り組み始める。

「フレグランス」を起点にブランド価値を高める

その後、鈴木氏はデザインコンサルティングファーム「DONGURI(ドングリ)」のメンバーと共にコンセプト設計や商品のコピー、デザインなどを考え直した結果、“ゆらぎ”というコンセプトの商品が完成した。

「どんな時であっても人にはさまざまな不安がつきものです。何か上手くいったとしても、今度は別な不安やプレッシャーがやってきて、なかなか心は落ち着いてくれません。いつだって悩み考え続け、いろんな方向にゆらいでいるからこそ、あらゆる”ゆらぎ"を否定しない。今、悩みゆらいでいる自身を受け入れ、時には立ち止まりながらも進んでいくことが、きっと自分らしさなんだと思います。そんなゆらぎ続ける私たちの“お守り”のような存在にwondeがなれたらいいな、と思ったんです」(鈴木氏)

 

さまざまな”ゆらぎ”の状況に合わせて香りを纏えるようにすべく、香りはサボン系やジャスミン系、フローラル系、ウッド系の4種類を用意。それぞれのコンセプトは「Plainly(思い出)」「Memento(青春)」「Whimsy(移り気)」「Salvage(救出)」となっている。価格はいずれも70mlで2280円。

また、wondeは売り上げの一部をコロナウイルス感染防止支援として日本ユニセフに寄付を継続的に行っていくほか、2021年3月で10年となる東日本大震災の支援として、鈴木氏の出身地でもある宮城県気仙沼市に直接寄付を行っている。

「今までいくつか新規事業を立ち上げてきたのですが、これまでは“自分が作りたい”と思ったものを作ったことはありませんでした。それは自分が作りたいものを作るよりかは、消費者のインサイトを汲み取り、それをもとに商品を開発して世の中に新しいトレンドを作ることに関心があったからです。そのため、これまでのブランドに自分の趣味や欲しいものが反映されているものはありません。