なぜ、香水から除菌スプレーの開発へピボットしたのか。また、アパレル以外の領域で新たなブランドを立ち上げた狙いについて、鈴木氏に話を聞いた。

紆余曲折を経て「新しい小売り」をつくる道へ

PATRAの創業は2014年9月。当時はChotchy(チョッチー)という社名で、AI(人工知能)が参加者それぞれにマッチする相手を提案したり、席替えを提案したりするイベント「人工知能コン」を手がけていた。今から6年前はAIが“バズワード”になっていたこともあり、人工知能コンはさまざまなメディアで取り上げられるなど大きな反響があった。しかし収益化の面で課題があり、結果的にクローズすることになる。

「イベントの切り口は面白かったと思うのですが、事業をスケール(拡大)させていくためには全国規模で合コンをたくさん開催しないといけない。全然インターネット的ではないですし、合コンの開催が本当にやりたかったわけではありませんでした。その頃にシードラウンドでの資金調達も実施していたので、人工知能コンはクローズし、ウェブサービスの開発に注力することにしたんです」(鈴木氏)

その後、チャットアプリやゲームなど10個以上のウェブサービスを開発するものの、思うようなヒットにはつながらず、どれもクローズすることになった。

「その頃は代表の海鋒(健太)がエンジニアで私がサービスの企画、そしてもう1人デザイナーがいて、バランスよくサービスを開発できる体制になっていました。なので、アプリ内広告モデルで収益化できればと考えていたんです。ただ、アプリの改善やグロースに関するノウハウがなかったので、想像していたような成果につながりませんでした。それを踏まえて、ユーザーが集まれば集まるほど収益につながる事業を模索することにしたんです」(鈴木氏)

その結果、誕生したのが女性向け動画マガジン「PATRA magazine」だった。「C CHANNEL」などのサービスが盛り上がり始めた2016年夏に、Instagramを中心にYouTubeやFacebook、アプリなどでメイク・DIY・美容・ファッション・トレンド情報といった女性向けの情報を動画で配信する分散型動画メディアを立ち上げた。

開始から1年弱で約13万人のフォロワーを獲得。その後、タイアップ広告も実施できる規模にまで成長したが、「Instagramの限られた広告枠でマネタイズするビジネスモデルには限界を感じていました」と鈴木氏は振り返る。