そうした中、タイアップ広告を実施していたクライアントの商品の動画がInstagamで話題になり、Instagam経由で実際に商品が売れる経験を味わう。それがきっかけとなり、“SNSで買い物をする未来”に可能性を感じた鈴木氏らは、2018年1月にオンラインアパレルブランド、mellowneon by PATRAを立ち上げた。

同年3月にはグローバル・ブレイン、SMBCベンチャーキャピタル、個人投資家から1億3000万円の資金調達を実施。そのタイミングで社名もChotchyからPATRAに変更した。

“香りをまとう”ことがメジャーではないからチャンスがある

その後、複数のアパレルブランドを展開するなど、順調に事業を成長させていたPATRA。それなりの手応えを感じつつも、鈴木氏は「アパレルブランドは売上の波が激しい。会社としては通年で安定して売れる商品を増やしていくべきと考えていました」と課題感を口にする。

その課題を解決すべく、PATRAは昨年にアクセサリーブランド「my twilight」を立ち上げ、そして今年の4月にランジェリーブランド「UNDER THE ROSE」を立ち上げた。それに続く形で新たに立ち上がったのが、フレグランスブランドのwondeだ。

 

「今までは“女性向け”のブランドを中心に展開してきたので、そろそろユニセックスな商品を取り扱い、今年から来年にかけてユーザー層を男性にも広げていけたら、と考えていたんです。その第1弾として取り組むことにしたのが“フレグランス”でした」

「『香水を作りたい』というところからフレグランスブランド立ち上げの企画が始まり、最初はオードパルファムを作ろうと考えていました。日本のトレンドにも大きく影響を与える韓国では、韓国発の香りのブランドがここ数年増加しています。月に1度、出張で韓国に足を運び、香水のリサーチをしている中で“香り”という切り口に惹かれていきました。また、“香りをまとう”ことは、日本では他の国に比べてあまりメジャーではないかもしれないからこそチャンスがあるのではないか、と思いました」(鈴木氏)

「アソビにきたくなるPOPUPショップ」というコンセプトのもと、ECとオフライン店舗を融合させた取り組みに注力し始めていたPATRA。鈴木氏は「香水はPOPUPショップで実際に体験してもらえたらと考えていました」と語るが、コロナ禍ですべてが白紙になる。

「新型コロナウイルスの感染拡大によって、リアルな場でのマーケティングにはなかなか踏み出しにくい状況になりました。最初はPATRA marketで買い物をしてくれる既存ユーザーに対して試香紙(しこうし)をつけて香りのサンプルを嗅いでもらい、気に入ったら購入してもらう方法も考えたのですが、売り方があまり面白くないと思ったんです」