ネットショップの作成にかかる初期費用、月額利用料は無料。商品が売れた際に、販売価格の10%が販売手数料としてかかる。

ソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏
ソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏

現在は農・水産物、飲食店グルメ、地方特産品、ハンドメイド、アパレル、雑貨の6つを注力カテゴリとし、小規模事業者のEC化支援に取り組んでいる。すでに3日間で20万円を売り上げた事業者も出てきている。

数多くのプレーヤーが先行するEC化支援の市場でメルカリは存在感を発揮できるのか。メルカリShopsの勝算について、ソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏に話を聞いた。

既存のソリューションでは“拾い切れていない層”がいる

──旧ソウゾウは2019年6月に解散しました。解散から約1年半が経った中、新生ソウゾウを立ち上げることにした経緯は何だったのでしょうか。

メルカリグループでは常に新規事業の検討は行ってきました。さまざまな選択肢を考える中で、新規事業の成功確度を高めるためには独立した組織体でスピード感を持ってやっていくのがいいのではないか。そんな考えから、新生ソウゾウの設立に至りました。

社名に関しては必ずしも“ソウゾウ”である必要はなかったです。ただ、新規事業の立ち上げに特化した会社が一度解散した後に諦めず、復活する。この点はすごく新規事業らしい要素があったこともあり、あえて再びソウゾウという社名にしました。

──なぜ、このタイミングでEC化支援だったのでしょうか。

メルカリShop以外にも、新規事業のアイデアは複数考えていました。どのアイデアを、どのタイミングで、どういう形でやるかを話し合う中で、いまソウゾウが取り組むべき事業テーマは小規模事業者のEC化支援ではないか、ということになったんです。

その意思決定の背景には、昨年のコロナ禍による社会の変化も大きく関係しています。当時、自分はメルペイで働いており、加盟店の人たちからコロナ禍でお店の営業にも支障が出ていて、すごく困っていることを聞いていたんです。

中には営業の自粛要請などが死活問題になっている事業者もいて。昨年まではつなぎ融資で何とか耐えしのぐことができたけど、今年に入ってからは融資も難しくなっていて、正直厳しくなってきている、と。

そうした状況を何とか改善できないか、と考えた結果、メルカリグループのアセットを活用して取り組めることが小規模事業者のEC化支援でした。

EC化支援の市場には、すでにさまざまなソリューションが提供されていることも知っていましたが、既存のソリューションに対応できず、困っている人もいる。そういった人たちが今求めているソリューションが、誰でも「かんたん」に使えて、すぐに商品が「売れる」体験を提供することだと思ったんです。