──過去には「出品から5秒で売り切れるニラ」などが話題になるなど、メルカリで農産物を出品している人もいました。そうしたタイミングなどで、メルカリの“いち機能”としての開発は検討されなかったのでしょうか。

メルカリで農産物を販売する人はいらっしゃいましたし、多分今後もいると思います。そこに関しては、その人が望む形であればメルカリShopsを使わずとも、個人の選択としてメルカリの中で農産物を売る人がいてもいいと思っています。

とはいえ、メルカリはネットショップに最適化されているわけではないので、事業者がネットショップとして使うには使いづらい部分がある。そのため、ネットショップの作成に特化したサービスとしてメルカリShopsを開発しました。例えば、メルカリShopsで商品の色やサイズ、各在庫数なども一括設定して販売することができます。

メルカリShopsの強みはスマホひとつで簡単にネットショップが作成でき、商品がすぐに売れるという部分です。メルカリが個人のモノの売り買いのハードルを下げたように、メルカリShopsは事業者がネットでモノを売るハードルを下げていければと思っています。

誰でも「かんたん」に使えて、すぐに商品が「売れる」。これは言うは易しで、実際は事業者と購入者のマッチングなど難しい部分も多々あります。ただ、フリマアプリの提供で培ってきたノウハウをもとに、事業者に対して価値を提供していきたいです。

利用していただいている人たちの声を聞きたり、動きも見たりしながら、日々さまざまな施策を試し、数字が変わるのか、受け入れられるのかを見ています。今後はメルカリ、メルペイなど各サービスでの連携も図っていけたらと思います。

メルカリが「売れる」と自信を持って断言できる理由

──メルカリShopsは「売れる」点を強調されています。具体的に“売れる仕組み”とは、どういったものなのでしょうか。

簡単に説明するなら、商品の購入を検討しようとしている人に対して適切なタイミングで、適切な商品を提示するということです。その裏側の仕組みとして、メルカリがフリマアプリの提供で培ってきた機械学習やパーソナライゼーションの技術があります。実際、メルカリでは1秒あたり約7.2品が売れている状況をつくれています。

また、メルカリの外の経済圏では今後、ソーシャル上での購入が広がっていくと思います。“クリエイターエコノミー”が台頭してきているように、数は少ないけれど熱量の高いコアなファンを抱えている人たちは無数にいる。そういった人たちがソーシャル上で商品を販売する際の最適な表示の仕方は何か、また求められる機能は何か。ここはイノベーションの余地が存分にあるので、これからさらに面白くなっていくと思います。