こうしたSIEの方針に影響を受けたのか、フランスに本社を持つ大手ゲームメーカー・Ubisoft(代表作は『アサシン クリード』『レインボーシックス』『ウォッチドッグス』シリーズ)も、同様の発表をしている。最新作『Far Cry6』はPS4版やXbox One版購入者に対して、それぞれPS5版およびXbox Series X/S版という最新ハード版ソフトへのアップデートを無料で実施するとした。おそらく今後、世界中の大手ゲームメーカーが無償、または少額で最新ゲーム機向けのアップグレードを行う流れになっていくに違いない。

この方式の唯一のデメリットとして、PS5用のパッケージ版ソフトが販売不振になるというものがある。PS4版のパッケージ版を購入+1100円払うと、PS4用のBlu-ray Disc版+PS5用のDL版が手に入る。このため、PS5ユーザーであってもパッケージ版はPS4用ソフトを買うユーザーが多く、PS5用パッケージ版は敬遠されてしまう。PS5用のパッケージソフトについて出荷数や仕入れ数を絞ることでコントロールしていく可能性は少なくない。ただし、PS5用パッケージソフトの売上不振は今後数年間は継続するだろう。

新作ゲームタイトル、特にインターネットを介して他人と遊ぶものに関しては、ソフトの発売直後のユーザー数は多いが、1年、2年と経過するうちにユーザー数が減少していく。このため、ネットでの協力プレイが中心だと、発売直後でないと魅力が薄れるという側面もあった。しかし、発売後にDLCが次々と配信されるようになった現在は、発売から時間が経過してからも、発売当時以上のボリュームで楽しめるケースが増えつつある。あなたが満足できるタイトルの選択肢は、以前に比べて広がっているのだ。