PS5はPS4との互換性を持っており、PS4のソフトがほぼ全て動作する。そのため、PS3と互換性のないPS4の発売時と較べても、買い替え希望者は非常に多い。ソニー・インタラクティブエンタテイメント(SIE)としてはPS5を売るためにPS5専用ソフトを投入したいところだが、そもそも市場に本体が売っていない状況なのでPS5専用ソフトは売上本数が伸びず、大赤字タイトルになってしまう。

そこでSIEが選んだ作戦は、新作ソフトをPS4/5両対応として発売するというもの。PS5を手に入れられないユーザーには、いったんPS4版のソフトを買ってもらう。後日にPS5本体を入手したら、10ドル(日本語版の価格は未発表だが、おそらく1100円程度になると予想される)の追加料金でPS5版のDL版ソフトを購入できるという発表を2021年9月4日にしたばかり。「とりあえずPS4版を購入して楽しんでいてください」というメッセージをひしひしと感じる。

今後は、既存のPS4ソフトにおいて「PS5ネイティブ対応版ソフトを作りました」という発表も増えていくだろう。

2021年8月に発売した『Ghost of Tsushima DIRECTOR’S CUT』では、今後のSIEソフトを象徴するであろう販売方法を取り入れている。2020年7月に発売した前作『Ghost of Tsushima』のユーザーは、2200円で有料DLCを購入するとPS4版の『DIRECTOR’S CUT』へアップデートできる。ここから、さらに1100円を支払うことでPS5版ネイティブ対応のソフトへとアップグレードできる。前作のソフトを購入してくれたユーザーを優遇し、再び興味を持ってもらう。SIEの場合はPS5のメーカーでもあるため、ソフトを通じて「PS5にアップグレードすると、ここが凄い」というPS5の販促も兼ねている。

一方、2021年9月24日に発売予定である『DEATH STRANDING DIRECTOR’S CUT』のように、ソフトの内容自体には大きな内容追加を行わず、PS4版ソフトを有料(1100円)でPS5版へアップグレードするというケースも増えてくるだろう。

今後、SIEが発売するPS4/5の2機種向けに発売されるソフトは、前述した2パターンによる販売方法のどちらかを採用することになるはずだ。2021年9月10日にYouTubeで公開されたプロモーション動画「PlayStation Showcase 2021」でも、この傾向が確認できた。