現在はカナリーの展開に加えて不動産仲介会社の業務を支援するSaaSの開発も進めており、今秋にも一般提供を始める計画。BluAgeではさらなる事業拡大に向けてAngel Bridge 、NTTファイナンス、ABCドリームベンチャーズなどから約12億円の資金調達も実施した。

部屋探しのアプリシフトに勝機、累計ダウンロード数は100万件突破

BluAgeは2018年4月の設立。代表取締役を務める佐々木拓輝氏がメリルリンチ日本証券やボストンコンサルティンググループを経て、東京大学在学時からの友人でもある穐元太一氏と共に立ち上げたスタートアップだ。

なぜ佐々木氏たちは不動産賃貸の領域を選んだのか。1つは佐々木氏自身が“ユーザーとして”既存の情報サイトを駆使しながら部屋探しをする中で感じた不満が影響している。

「最初に感じたのが、掲載されている情報が正しくないということでした。ポータルサイトから問い合わせをしても『その物件は終了しました』と言われたり、(おとり店舗で)とにかく店舗に呼ばれたりする。部屋探しの根本となる『探す』という体験が満足にできなかったことに1番課題を感じました」(佐々木氏)

BluAgeで代表取締役を務める佐々木拓輝氏
BluAgeで代表取締役を務める佐々木拓輝氏

カナリーは言わば「佐々木氏自身がユーザー目線で欲しかったサービスを形にしたもの」でもあるわけだ。加えてマーケットの規模が大きいだけでなく、「ユーザーの部屋探しの手段」も含めて業界が変革期を迎えていた点も大きな要因となった。

「まさに部屋探しのアプリシフトが進んでいくような状況でした。もともと店舗に来店して担当者と一緒に部屋探しをしていたところから、タッチポイントがPCになり、今ではスマホへと移行している。スマホに関しても最初はウェブ(ブラウザ)が中心でしたが、特に20〜30代を中心にアプリが主流になり始めている。この世代の人たちは、不動産に限らず普段からアプリを使っているので、ダウンロード自体のハードルも下がっているように感じます」

「部屋探し自体はだいたい2年に1度くらいのイベントではあるものの、その期間は毎日のようにこだわりを持って情報収集をする方が多い。そうなると検索速度やお気に入りの登録、新着通知などを含めてアプリの方が使いやすいということもあり、その比率が高まってきています。実際に自分たちもその波にうまく乗る形で事業を広げることができました」(佐々木氏)

カナリーの画面イメージと特徴
 

たとえばカナリーでは業界データベースや管理会社から最新情報を集めつつ、おとり物件などはAIを用いて排除しながら、正しい情報を絞り込んで掲載している。これができるのはスマホアプリを前提に設計していることも深く関わっているという。