──どのようにご自身の事業を宣伝していますか。ノウハウを知りたい人も多いと思います。

エゴが見えると、それを読んだ人は、やはりしらけてしまいますよね。「続きはプロフ欄に」みたいなツイートをときどき見ますが、それやってしまうと誘導しようしてるのが丸わかりじゃん! となってしまう。だから、僕はそれはやりません。

やはりユーザーファーストであることが、とても大事になります。宣伝とわかるツイートより、「あなたにとってこれは有益ですよ」という情報の方が明らかに「いいね」が多い。ツイートと「営業」は同じだなと思います。

──「ツイートと営業は同じ」という言葉を聞いて、ピンとくるかどうかもポイントですね。

15年前、売れている営業マンは何をやっているのかが書かれた本がはやっていました。全部読んでみましたが、どの本も言ってることは同じでしたね。曰く、「お客さんが喜ぶことをやり続けることが大事」だと。やり続けてると「この人、最高」とお客さんが勝手に増えてくる。有益な情報を提供し続けることが、ファンを作ることにつながると思います。

相手の立場に立って考えた情報発信を

──Twitterを広告に使うことはせず、今のスタンスでいられるのはなぜですか。

銀行員時代、本に書かれていることとまったく同じこと——「お客さんが喜ぶことをやり続ける」——を自分でやってみたんです。なので、売り込むような営業はしませんでした。「あなたの会社に役立つことを考えると、これはリース会社、これは別の銀行がいいかもしれません。私たちの銀行は使わなくてもいいです」などと提案していましたね。

そうしたらとても驚かれて。取引会社の社長から「銀行員として、こんな提案してこないでよ」って言われてしまいました(苦笑)。でも、僕からしたら当たり前のことです。今もこのスタンスを守っています。

伊藤羊一氏
 

──相手の立場になって、相手の事業のことを考えるということですね。ところで、Twitter運用の参考になるアカウントがあるとか。

ナウル共和国政府観光局(@nauru_japan)のアカウントです。ナウル共和国は、国民は1万人ほどですが、Twitterのフォロワー数がナウル共和国民の22倍以上に相当する24万人(2021年7月の対談時)に到達しています。

ツイート内容はほんわかしているんですが、それがナウル共和国について学びたくなる投稿なんです。ときどき自国の宣伝をしてるけど、自虐的なネタとかを入れながら運用していて、Twitterの中の人が面白いんですよ。