「コンシューマー向け事業に、しかも早いタイミングからサポートするファンドは、なかなかない。これまでの我々のキャリアや思い入れを含めて総合的に考え、そこを支援していこうというのが我々の出発点です。僕らもまだまだこれからですが、1号ファンドで手応えやニーズを感じたので、引き続き(この領域で)がんばります」(東氏)

「ボラティリティ(不安定性)が高いコンシューマーサービスに、まだPMF(プロダクト・マーケット・フィット)しているかどうか、というタイミングで、リード投資家としてしっかり投資、支援するというところが、ほかのファンドと我々とのポジショニングの違いです。ここは2号ファンドでもしっかり打ち出していきたい点です」(新氏)

「今だからこそエンタメやスポーツ領域に投資する意義がある」

toCサービスの中でも、W venturesでは特に「ライフスタイル」「エンターテインメント」「スポーツ」を投資強化領域としてきた。2号ファンドも1号ファンドと同じく、この領域にフォーカスしている。

このうちエンターテインメント領域に関しては、とりわけ「ポテンシャルのある領域だが投資家がつきづらく、『立ち上げが難しい』と思うスタートアップは多い」と東氏は言う。

「(代表パートナーの)2人とも、エンターテインメント領域には関わってきたので、起業をためらうスタートアップに応えられるのではないかと考えています。また、国内で活躍するスタートアップだけでなく、海外に出て行くようなスタートアップも応援したい。エンターテインメントは従来、日本が強みを持つ分野で、グローバルで戦えるポテンシャルの高い会社も多い。これも我々が投資を強化する理由のひとつとなっています」(東氏)

スポーツ領域に注目する理由については、東氏は以下のように説明する。

「オリンピック、パラリンピックで多くの人がスポーツの良さに触れることになったと思いますが、まず、エンターテインメントの延長線上で、コンテンツとして素晴らしい。ところが、米国などと比べると、まだテクノロジーがそれほど入っていない領域でもあります。また、エンターテインメントもそうですが、スポーツもコロナ禍によって大きな変革を迫られている。そういう意味でもポテンシャルがあると考えます」(東氏)

また新氏は、「今だからこそエンターテインメントやスポーツといった領域に投資する意義がある」として次のように述べる。

「両分野ともコロナ禍で大きな打撃を受けている。今このタイミングで勢いのある、調子のよい企業にだけ投資をしようと思うと、スポーツやエンターテインメント以外の分野に目が行ってしまいがちです。しかしエンターテインメントもスポーツも人生観を変える、生きがいを与えるような価値がある。多様化する価値観にしっかり寄り添うという、我々のミッション『よろこびふやそう』にも通じるところがある。我々の価値として、そういう領域をしっかり応援していくと、対外的にもメッセージとして出していきたいのです」(新氏)