W venturesでは2号ファンド組成の発表と同時に、インキュベーションプログラム「SCRAMBLE」を開始することも明らかにしている。このプログラムがフォーカスするのも、デジタルエンターテインメントやスポーツの領域だ。対象となるのはクリエイター。デザイナーや動画制作者に加えてエンジニアなども含めた広義の「作り手」を支援する。12月上旬には2カ月のプログラムを開始する予定だ。

2号ファンドの1社あたりの出資額は、2000万円程度から最大2億円程度までを想定している。プレシードからシリーズAラウンドの企業へのリード投資をメインで考えているということだ。2号ファンドからはすでに2社へ投資を行っている。また、インキュベーションプログラムに採択された企業には、1社につき1000万円を出資する。

「海外進出も応援したい」日本のBtoCスタートアップの可能性

先述したとおり新氏と東氏は、SaaS企業に流れがちなスタートアップ投資をコンシューマー向けサービスにも振り向けたい考えだ。東氏は、スニダンによるモノカブの買収を“象徴的事例”として挙げている。

「モノカブを買収したスニダン(SODA)は海外からの投資額も大きく、こうした流れは日本のコンシューマー系スタートアップでも増えていくと思いますし、増えていって欲しいと思っています。『海外投資家による日本のスタートアップへの投資』というとSaaSのイメージが強いかもしれませんが、エンターテインメント領域でも、海外から出資したいという声がないわけではない。日本でしっかり事業を営む会社も素晴らしいですが、グローバル展開すればさらに事業は大きくなります。グローバル規模にビジネスをやる会社をつくることはレベルは高いですが、実現したら価値は高いので、しっかり応援したいと思います」(東氏)

また、フィンテックなどの領域では「日本のローカルビジネスに投資、買収したい」というアングルになりやすいが、エンターテインメントの領域では、アニメーションスタジオなど、むしろ日本から進出する企業が絶えなかったと東氏は指摘する。

日本のクリエイター勢は今でも優秀で、ポテンシャルがあるという東氏。「これまでも日本企業がいくつも海外へ出て行って、コンテンツをつくっています。歴史的にはできないことではない。新しいオンラインのプラットフォームで人気を集められるようなコンテンツをつくる会社や、コンテンツを生み出す仕組みのようなものは、まだまだチャンスがある」と語る。