前述のようにVCによってパーセンテージは変わりますが、具体的な数字としては、だいたいファンド総額の2〜2.5%ということが多くなっています。2000年代前半などは、3%というのもありましたが、年々小さくなっていく傾向にあり、今だと3%はあまり見かけません。

──成功報酬については。

成功報酬とは、リターンを最大化し、LPとGPのインセンティブを1つにするための報酬体系です。“Two-Twenty”と言われるように、ネットリターン([グロスのリターン]-[投資原価])のうち、管理報酬が2%、成功報酬が20%となっていることがほとんどです。100億円のファンドを2倍にしたら、ネットリターンである100億円の20%、20億円をファンド運営者が貢献度に応じて分けることになります。

さらに独立系VCの場合、LPがVCにコミットを求めるために、VCの運営責任者(GP)に個人でファンドに出資することを求めます。VCが起業家に手金でコミットを求めるのと全く同じ構造です。通常は、GP全体で最低ファンドの1%となることが多いです。たとえばGCPでは2019年に400億円の6号ファンドを立ち上げました。その1%は4億円です。GPが4人いる場合、1人1億円の手金を出していることになります。

僕が最初にGPになった4号ファンド(2013年組成)の規模は115億円、5号ファンド(2016年組成)は200億円、6号ファンドで400億円でした。なので、個人で億単位でコミットしていることになります。そして、初めてGPになった4号ファンドではまだ成功報酬が入っていなかったので、借入をしてコミットしていました。

ファンドを運営している当人としては、「まさか自分のファンドが損を出すとは思っていない」というのは、起業家が「自分のスタートアップが失敗するとは思っていない」と考えるの似ているかもしれません。とは言え、端から客観的に見ると「未上場株への投資をするのに、借入を原資にしている」というハイリスクな構造になっています。当然、ファンドがゼロになったら、GPは個人で借入分の借金を背負うことになります。

なので、ファンドを立ち上げる際は、最初のファンドが本当に大変だったりします。新規にファンドを立ち上げるVCは、まさに「VC事業をやっている起業家」と言えるのではないでしょうか。

GPはスタートアップ同様に、金銭的なコミットとリスクも取る

──リスクのとり方を聞くとスタートアップの起業家に近いものを感じます。