![LINEを利用した生理日予測・パートナー共有サービス「ペアケア」](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/f/-/img_2f900e59d03ec8e250091c9cd40d4f5a169786.jpg)
生理管理サービスとしては20年余の歴史がある「ルナルナ」をはじめ、「Clue」や「ラルーン」など、競合となるサービスは国内外に数多くあるが、ペアケアの特長はLINE APIを活用した点にある。
「私自身、つい忘れてしまい、さかのぼって生理日を記録することがよくありました。大学生にも何人か聞いてみると、『わざわざアプリを開くことが面倒』という声もあって。パートナーと共有するにしても、他のサービスはメールで一方的に通知が届くような方法。なんとなく押し付けがましいというか、『ともに向き合えていない』ような感覚があったんです」
「若い世代にとっては、普段のコミュニケーションはLINEが中心ですし、その中で完結できたほうが使い勝手もいい。男性にとっても、アプリをインストールするより、LINEの友だち追加のほうが気軽ですし、普段のコミュニケーションの延長線上でやり取りできる。ホーム画面で通知が届いても恥ずかしくないというか、心理的なハードルを下げられるのではないかと考えたんです」(酒匂氏)
酒匂氏はフリーランスのサービスデザイナー、プロダクトマネージャーとして働きながら、ペアケアのアイデアを着想。2、3カ月ほどで一気に開発を進め、2019年9月4日にサービスを公開すると、1週間で3000人ほどのユーザーが友だち登録し、好調に滑りだした。
「『PMSでイライラしてるとき、そのことをパートナーに伝えるべきかどうか悩んでいたから、すごくありがたい』と、女性の方はもちろん、男性からも反響がありました。『夫婦で共有できるのは本当に助かる』『シンプルなデザインで使いやすそう』といった声もあって……。生理について話しやすくなってきたとはいえ、やっぱり男性からはなかなか聞きづらいところもあります」
「でも実は、男性もパートナーや同僚など、まわりの人のために、生理について知りたいと考えていて、ほんの少しでも自分自身が知ることで女性をサポートできる。そういったニーズが顕在化したんだと思います」(酒匂氏)
これまでに約4万組がパートナー登録をしているが、その9割が男女ペアであり、男性ユーザーは全体の2割強にのぼる。生理開始のお知らせを受け取ったり、カレンダーや体調記録を見たりすることで、お互いの予定調整や普段のコミュニケーションに活かしている。
「恋愛だからって、キラキラさせたくない」、Pairsに「ブルー」を採用した理由
酒匂氏の発想の原点は、前職での経験にある。2012年10月からエウレカで恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」の立ち上げに携わり、2018年3月までデザイナー兼プロダクトオーナーとして、その事業成長の牽引役を担った。ブランドカラーとしてミントブルーを採用したのも、彼女によるものだ。