忙しい人こそ「自分の身体と向き合う」習慣を

2021年12月現在、対前月比約110%ペースで伸長しているというペアケア。2020年3月からはサブスクプラン「ペアケアプレミアム」を、2021年3月にはピル服用の記録やリマインドを行う「ピルプラン」をスタート。

2021年1月にはカレンダーシェアアプリ「TimeTree」との連携が可能となるなど、機能の拡充とマネタイズを進めている。アイコンとなっている「クマ」のオリジナルキャラクターにも男女両方のユーザーから好意的な声が寄せられているという。

「パートナーと共有されている方はよく『クマからLINE来たよ』『クマが来たから、そろそろだね』などとお話されるそうです。キャラクターに置き換えることで、これまでなかなか言葉にしづらかった生理の話をできるようになったといった声もありました」

「生理周期を共有したり、生理についてのコラムを読んだりすることで、これまでなんとなく『イライラしてるな』と感じたり、ケンカになってしまったりしていたのが、『PMSだから』『今はつらい時期なんだ』と理解した上で、パートナーも一緒に対処することができる。コミュニケーションが自然な形で変わっていっています」(酒匂氏)

行動が変われば意識が変わり、意識が変わればまた行動も変わっていく。「自分の身体と向き合う」ことが習慣化し、女性の健康に関する情報に接する機会が増え、生理について話すことが増えていけば、女性に限らず男性にとっても働きやすい世の中になるのではないか、と酒匂氏は語る。

「個人差はあるものの、女性にとって生理は人生の半分くらいにわたって長く付き合っていかなければならないもの。『毎月我慢して終わり』ではなく、自分の体調や気持ちと向き合って、日々の記録でその変化や傾向に気づくことで、あらかじめ対策することもできるようになります」(酒匂氏)

例えば、排卵痛(卵子が排出されるときに感じる痛み)が毎月続くようになったことに気づき、婦人科で診てもらったら疾患が見つかったというユーザーもいたという。

 

「データとして可視化してみると、振り返りや改善をしやすくなる。UI/UXとしてもそういった設計をしています。そして、これは女性に限られたことではないとも考えています。日常的に自分と向き合って、不調を周りと共有することで、無理に働かず休暇を取りやすくなったり、結果的によりパフォーマンスを発揮しやすくなったりする」

「どんなに素晴らしい制度が整備されていても、実際の『休みやすい雰囲気』につながるような上司や同僚の理解がなければ、当事者はなかなか制度を利用できませんよね。少しずつ行動が変わっていくことで、組織の中から考え方が変わっていって、みんなが働きやすい世の中になっていけばいいなと思います」(酒匂氏)