「まなぶ」の機能
 

「ためす」はクイズ形式になっており、表示された点字・絵文字に合った文字や数字を回答する。

「ためす」の機能
 

「つかう」では点字の場合、文字や数字を入力すると裏側から見た点字が表示される。それを点字機を使って紙に打ち込むことで、点字を作成することができる。指文字の場合は、文字を入力すると対応した指文字が表示され、真似ることで指文字を表現できる。

「つかう」の機能(点字)
 
「つかう」の機能(指文字)
 

「しらべる」では点字の凸部分を入力することで、何の文字かを調べることができる。指文字の場合、カメラで指文字を作ると対応した文字を教えてくれる。この機能は子ども向けのプログラミング言語「Scratch」の拡張機能「ML2Scratch」を活用した機械学習により実現したという。

「しらべる」の機能(点字)
 
「しらべる」の機能(指文字1)
 
「しらべる」の機能(指文字2)
 

今後は指文字認識の精度を高めていくほか、音声入力機能の実装や、点字表示装置との連動を目指す。

開発のきっかけは「SDGsを学んだこと」

この作品を開発した理由について、後藤さんは「SDGs(持続可能な開発目標)を学び、心のザワザワをすっきり解決するものを作りたいと思いました」と説明する。

「手話や点字に興味がありましたが、実際に使うことがないので、なかなか覚えられないなと感じていました。そこで手話や点字の翻訳アプリがあれば良いなと思いました」

「目の見えない人や耳の聞こえない人たちが、『たくさんの人と実際に会って話がしたい』と言っていたのがとても印象に残っています。このアプリを使ったみなさんが点字や指文字に興味を持ってくれたらとても嬉しいです」(後藤さん)

決勝大会で審査員を務めた、Cygames CTO室の永谷真澄氏は「とても人の役に立つ素晴らしいソフトウェアだと思います」とコメント。同じく審査員を務めた、サイバーエージェント・常務執行役員の長瀬慶重氏は「目が見えなかったり不自由な方からのフィードバックがアプリに反映されており、とても素晴らしい取り組みだと感じました」と評した。

SDGsを題材とした作品の存在感が増す

今年で4度目の開催となったTech Kids Grand Prix。今回は全国から3122件の応募があった。前年の2189件から1000件近く増加した。

Tech Kids Grand Prixは2020年より、東京都・渋谷区、千葉県・松戶市、⻑崎県・島原市といった地域と連携し、各地域でのコンテスト開催を支援している。各地域コンテストの優勝者はTech Kids Grand Prixの3次審査まで無条件で進出できる。

今年は全国の20地域と連携。結果として、大分県から1人、千葉県から1人の地域大会優勝者が、Tech Kids Grand Prixの決勝大会の舞台に立った。