まずは過去にFUNDINNOで資金調達をしたベンチャー企業4社の株式からスタートし、少しずつ対象を拡大する予定。FUNDINNO MARKETを通じて未上場株の流動性を高めていくことで、リスクマネーの循環を促進し、未上場企業への投資を加速させることを目指す。
株主コミュニティを活用、オンラインで未上場株の売り買いを可能に
![FUNDINNO MARKETの仕組み](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/-/img_fb70db42f49b8eca01d7c2111d6f09e3234330.png)
FUNDINNO MARKETでは企業(銘柄)ごとに形成される株主コミュニティに投資家が参加し、それぞれの株式の取引を行う。
企業と投資家はそれぞれ審査があるため、株式を売買したいと思った企業が審査を通過していなければ取引はできない。また複数企業の株式を取引したい場合にはそれぞれのコミュニティへ参加する必要がある。たとえば10社の株式を売買したければ、10個のコミュニティに参加するといった具合だ。
取引の流れや仕組みも上場株のマーケットとは異なる。FUNDINNO MARKETでの株の売買は、売りたい人と買いたい人を1対1でマッチングする相対取引形式。1カ月のうちに1週間ほど設けられているマッチング期間に取引が確定する。注文は指値で、早いものが優先される仕組みだ。
そのため上場株のように取引が即時にどんどん進むわけではない。このようなマッチングの形態をとっていることもあって、日本クラウドキャピタル代表取締役CEOの柴原祐喜氏は「イメージとしてはベンチャー株のメルカリのようなサービス」だと説明する。
また銘柄ごとの注文状況を把握するための“板”が存在せず、投資家はその都度状況を自ら問い合わせる必要がある点なども上場株との違いだ。
![上場株のマーケットとFUNDINNO MARKETでの取引の違い](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/-/img_a04a1c6f59f989b5bd2ac0bb809ebfc5781320.png)
FUNDINNO MARKETの利用料金はローンチ時点では無料となっているが、ユーザーの利用状況なども踏まえながら中長期的には取引の手数料や参加料といったかたちでマネタイズを検討していくという。
未上場株の流動性を高めてリスクマネーの循環を後押しへ
以前から柴原氏は3つの課題を解決することによって、日本のスタートアップを支援していきたいと話していた。
1つめの課題は「リスクマネーの供給量が少ない」こと。アメリカや中国などに比べても、日本ではスタートアップに流れるリスクマネーの量がまだまだ少ない。そこで2017年にFUNDINNOを立ち上げ、家計から未上場企業に直接資金が流れる仕組みを開発。特に資金ニーズが旺盛なシード・アーリー期の企業の成長を後押ししてきた。
2つめの課題は「未上場株に関する情報の非対称性が大きい」こと。これに関しても2019年にローンチしたクラウド経営管理サービス「FUNDOOR」を通じて、スタートアップの事業計画の作成や予実管理とともに、株主とのコミュニケーションもサポートしている。