VCマネーの流入により5年、10年後には、ゲーム業界は全く違った景色になっているのではないかと垣屋氏は予測する。

日本のファーストパーティーと大手パブリッシャー動向

日本のファーストパーティーや大手ゲームパブリッシャーの間でも、少しずつ立ち位置が異なる部分もあるのではないか。各社は今後の戦略について、どのように考えているのだろうか。

垣屋氏は「日本のプレーヤーの共通認識として、グローバルではPCゲーム、モバイルゲームがどんどん大きくなっているということはあると思う」と述べ、日本ゲーム界の近況について次のように説明する。

「日本ではコンソールゲームがまだまだ主流ですが、それが変化していく。その中で、PlayStationやNintendo Switchなどのプラットフォームだけでやっていてよいのかと、パブリッシャーは考えるようになっています。一方、プラットフォーマーである任天堂やソニーの側は、専用デバイス対応のプラットフォームを守っていかなければならない。そこで世界でどういうゲームがトレンドになっていくかを知っておく必要性は、誰もが感じています」(垣屋氏)

ファーストパーティーについては、前述したソニーのかじ切りも、「PCでもモバイルでも、PlayStationでもゲームが遊べる」という状況をつくる必要に駆られた結果、PS専用ゲームだけでない、さまざまなデバイスで遊べるゲームを開発可能な環境づくりに向かっているのではないか、と垣屋氏。ソニーがゲーム特化型VCに投資したり、ゲーム会社に資本を入れたりと、Tencentと同様の戦略に転換しているのも、このためだろうと話す。

また、11月1日にはセガと米Microsoftが戦略的提携の検討に合意したことを発表している。この提携はセガの中長期戦略の一環で、「グローバル」「オンライン」「コミュニティ」「IP利用」をキーワードに掲げる同社の「Super Game」タイトル創出に向け、「Microsoft Azure」プラットフォームを活用して、開発プロセスの最適化を図るというものだ。

「セガはNFTなどゲームの新たな領域への投資も公言しており、今後を見据えた新しい施策というのには敏感な印象。マルチプラットフォーム対応やクラウドゲーム対応などでゲームの開発環境も進化する必要がある中、Microsoft開発プラットフォームを通して最先端トレンドやマイクロソフトのプラットフォーム戦略にアクセスするというのも狙いなのではないでしょうか」(垣屋氏)