継続的な取り組みが求められるDX推進において、社外のプロに外注するよりも、自社の傘下に専門集団を抱えたいと考える企業が出てくるのは自然な流れといえる。この延長線上で、SIerや二次・三次請けのベンダー、デジタルコンサル、デザイン会社などの買収に乗り出す会社も今後増えてくるだろう。これらは、すでに人材獲得目的で同業者間のM&Aが活発な領域であり、他業界からの買収ニーズも高まれば、より一層競争が激しくなることは避けられない。

一方、DX人材を抱える会社が、DX推進によるバリューアップの余地の大きい領域に進出するという逆方向のアクションもあり得る。12月11日、SBIホールディングスは新生銀行に対するTOBが成立したと発表した。SBIはインターネットを介してさまざまな金融事業を展開してきたが、銀行業においては複数の地銀への出資に留まっていた。今回、自社のコントロール下に新生銀行を置いたことにより、どんな展開を描いているのか、大きな注目が集まっている。

さまざまな産業においてDXが叫ばれるようになった今、すでにIT業界と非IT業界の境目は見えなくなってきた。米国のソフトウェア開発者であり、投資家でもあるアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)のマーク・アンドリーセン氏が2011年に発信したフレーズ“Software is eating the world(ソフトウェアは世界を飲み込む)”は、現実のものとなりつつある。こうした潮流の中にあってM&Aを読み解くためには、今後ますますITビジネスへの理解が求められるようになるだろう。ITビジネスを得意とするM&Aプラットフォーマーである当社もその役割を自覚し、情報発信に注力していきたい。