その副次的な効果としてアンダープライシング問題(初値が公開価格を上回ること、公開価格が市場の期待より低いこと)の是正や、千葉氏自身も提言している大型IPOを牽引する起爆剤としての効果も期待できると指摘する。

日本のマザーズ市場(再編後はグロース市場)は数十億円規模の時価総額でも上場企業になれるというメリットを残しつつ、反対に日本版SPACは大型化を引っ張りあげる機能になるのではないかという。

「未来のスタートアップの価格を発見する機能のように、単にアメリカのコピーを作るのではなく、日本の今のIPO制度において実現できていない部分を実現できる仕組みになりうる。まさに海外投資家の参戦によって、日本でもスタートアップが1000億円、2000億円の時価総額を目指せる環境が整ってきている中で、その1番下の基礎部分として(SPACは)ありなのではないかというのがこの1〜2カ月で議論されてきたことです」(千葉氏)

バイオや宇宙なども含め、複数のディープテックスタートアップに投資をする村田氏も「(上場審査では)黒字化の時期やその蓋然性が重視され、ディープテック企業が上場するには無理やり黒字化しなければ難しいような状況には課題がある」という考えだ。

実際に海外では今年だけでも複数の宇宙ベンチャーがSPAC上場に踏み切った。

その中の一定数は上場できなかったものの「それは上場すべきではないと市場が選別してくれた。市場の効果がきちんとワークしている」(村田氏)。千葉氏も「250もSPACが立ち上がると、そこには市場ができあがり、(淘汰されるべきものは)自然と淘汰されるようになる」と話していた。