実は、私たちはみんな知っているのです。言葉や伝え方のテクニックだけでは心が震えないということを。

 その答えは、「声」にありました。つまり、いくら取りつくろっても、その人が放つ声のエネルギー、周波数が受け取る側に伝わってしまうのです。

 米国の黒人差別撤廃のために闘ったキング牧師の声を聞くと、なぜか鳥肌が立ちます。英語なので何を話しているかさっぱりわからなくても、心が反応してしまうのです。これってやはり、話す内容ではないということですよね。

 話し方や伝え方ももちろん大切ですが、もっと重要なのは、「何を、どう話すか」よりも「誰が話すか」なのです。それも、影響力が強い人とか、有名な人だからというキャラクターによるものではなく、「どんな声」で話すかということ。

 声ひとつで人間関係が改善され、自分に自信がもてるようになり、仕事の成否まで決まってしまうとしたら、コミュニケーションに使わない手はないと思いませんか。

ハキハキした元気な声で仕事がとれる時代は終わった

 元気な声で営業して仕事が取れる時代はもう終わりました。

 通る声でプレゼンされても長く聞いていられないし、説得されることもありません。

 日本人は小さいときから大人になるまでずっと、「ちゃんとすること」を良しとされてきました。学校では姿勢良く、大きなはっきりとした声で話すとほめられます。部活では元気に声を張り上げ、社会に出てからも明るく挨拶すると評価はアップ。

 たしかにそれは素晴らしいことですし、好印象を与えるにはいいでしょう。でも、そんなときの声は、実はとても緊張しています。

 私たちは、人と関わるとき、少なからず緊張しています。しゃべりのプロであるアナウンサーだって、実は緊張をしているんですよ。「間違えてはいけない」「ちゃんとしなければいけない」と思うため、声が硬くなるのです。声はメンタルであり、心の状態が素直に表れるものなのです。

 だから緊張すると、声が硬くなる。では、どこが硬くなるのでしょうか。