被害を受けたホストは
僕だけじゃない
タクヤ君は27日午後、悪質ホスト問題での被害者支援にあたる「青少年を守る父母の連絡協議会」(略称・青母連/せいぼれん)の玄秀盛さんの元を訪ねた。青母連は新宿・歌舞伎町にオフィスを構える公益社団法人「日本駆け込み寺」内に今年7月に発足。同問題の被害者救済や情報発信で中心的な役割を担っている。
実はタクヤ君は今夏に一度、玄さんと面会している。ホストになったことを心配した親が、「歌舞伎町にホストクラブ以外の知り合いがいると安心だから」と、つないだ。その玄さんが、「何か困ったことがあったら、俺の元に来い」と声を掛けてくれたのを思い出した。
タクヤ君は合意書に署名をさせられて以降、ホストクラブへの出勤はやめている。現在は、青母連の支援を受けつつ、警察や弁護士との対応を進めている。
タクヤ君は幹部に囲まれたときのことを、「非常に怖かった。お金を払うと言わないと逃げられないという強迫観念に追い込まれた」と振り返る。そして、「僕の『爆弾』は女性と店が切れるものでもなかったし、店舗への損害もない。こんなやり方が、許されるのでしょうか」と続けた。
今回、詳細な証言をしたのは、悪質ホスト問題で女性被害者に注目が集まる中、トラブルを抱えているホストがいることを知ってもらいたいからだ。
「合意書のひな形は、事前に用意されていました。幹部たちは僕を詰めるのも慣れていたし、同じような被害を受けたホストがいるはずです」
たしかに、タクヤ君が払うと言わされてから、たった2分で書類を新たに作成して戻ってくるのは考えづらい。合意書はタクヤ君が缶詰にされる前から存在したのだろう。別のホストに使われた合意書が、転用されたとするのが自然だ。
今回の告発の裏に、一連の悪質ホストに関する報道があったことも明かしてくれた。
「警察庁長官が歌舞伎町を訪問し、国会に法案が提出されるなど、ホストクラブに社会の関心が集まっています。店舗幹部による、新人ホストらに対する悪質行為も、この機会に問題にしてもらいたい」
別店舗から勧誘を受けたが、タクヤ君はホスト業から足を洗う。歌舞伎町にも、青母連への相談以外で立ち寄らないとしている。