実はこのように退職を拒んでくる心理として「自分もこれまで仕事や会社に苦しんできたのだから、あなただけがそこから逃げるなんて甘い、許せない」という考えがベースにあります。あるいは、管理職の自分の評価が下がらないように必死なのかもしれません。

 ですから、そんなふうに引きとめる上司に遭遇したら、「すみません。仕事を任せっぱなしにしてしまって」「おっしゃるとおりです」などと受け流して、かわすことが大事です。

辞められない会社を
辞める最終手段

 どうしても会社が怖くて辞めたいと言い出せない、会社の理不尽さに負けてしまいそう、という場合、または退職届を出したのに受理されない、退職届を出してからひどい嫌がらせを受けるようになったなど、どうしても耐えられないときは、最終手段になりますが、思いきって会社に行かないという方法もあります。

「円満退社」からは離れてしまいますが、出社せずにいれば、退職は認められます。退職届を内容証明で郵送して、2週間は有給や、欠勤で休んでしまえば、もう会社に行かなくてもいいのです。

 それでも、会社が就業規則などを提示して退職を認めてくれなければ、迷わず、労働基準監督署を訪ねてください。

 労働基準監督署と聞くと、ハードルの高いイメージがありますが、区や市役所に行く感覚で利用可能な身近な組織です。かしこまった建物でもありませんし、スタッフも丁寧に相談に乗ってくれます。

 役所に行くと、定期的に法律相談が開催されていますから、そちらで相談をするのもいいでしょう。法テラス(日本司法支援センター)のオンラインや電話無料相談というのもあります。

 料金もかかりますし、ハードルが高くなってしまうかもしれませんが、弁護士や退職代行業者に相談するのも有効です。

「この会社ムリ」と言ってしまう背景には、いろいろと相談に乗っている私ですら聞いたこともないほど、悪条件の環境や人間関係の問題もあります。

 法律を破っているのは会社のほう。もうこれ以上、あなたの心と体をすり減らすことはしなくていいのです。

 ほかの人に任せてしまうというのも、選択肢のひとつです。