退職代行サービス急増で「違法リスク」懸念大、事業者選びの注意点とはなぜ退職代行サービスのニーズが増加しているのか?退職代行サービスの詳細と利用時の注意点とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ブラック職場を辞めようとしたら
懲戒解雇と賃金不払いの圧力

 都内の中小メーカーで働くAさん(30代男性)は勤続10年の中堅社員だが、毎日終電まで残業が続き、体力・気力ともに限界にあった。

 Aさんの職場は、休みは週1日、9日連続勤務も当たり前の、いわゆるブラック企業。

 やむなく上司に「退職を検討している」と伝えたところ、ねぎらわれるどころか「そんなことをすれば懲戒解雇扱いにする」と、圧力をかけられる始末。さらに「懲戒解雇が前提なのだから、未払いの給与の支払い義務もない」と冷たく言われた。

 落胆したAさんは会社を辞める決意をしたものの、退職届を出せば、会社と対立することは避けられない。また、会社に対する許せない気持ちもあった。超過勤務を労働基準法違反として告発したい、未払い給与を支払ってもらいたいとして、筆者の事務所に相談をしてきた。

 筆者はAさんの会社の担当者に対し、会社として懲戒解雇を行うメリットがないことを伝え、Aさんが退職意思を示している以上、機械的に退職日を決めるよう伝えた。また、未払い給与を支払わないことは会社側にとって労基署に駆け込まれるなどのリスクが大きいので控えたほうがよいと伝えた。