さらには、うつ病などの疾患が原因で退職する場合は特定理由離職者となり、傷病手当(社会保険に加入する人が、ケガや病気で働けなくなった場合に保障される公的な制度)の対象になるほか、失業給付金も先ほどと同様に給付制限がなくなり、早期に振り込まれます。この場合は主治医の診断書をハローワークに提出する必要があります。

 ただし、「精神障害者保健福祉手帳」の発行や申請をしていれば、ハローワーク職員の判断にもよりますが、特定理由離職者ではなく就職困難者の扱いになりやすく、失業給付金の受給できる期間が最大360日まで延長されることがあります。

 特定受給資格者や特定理由離職者に認定されると、こうした手当の優遇のほか、自治体によりますが、保険料の軽減される場合もあります。

 退職するときには忘れがちなのですが、退職後の保険料が負担となるケースは少なくありません。

 こうした制度の存在を知らない人が非常に多いのですが、労働者の正式な権利なので、罪悪感を持たずに淡々と書類を集めてください。

必死で引きとめてくる
上司への対応法

 退職の意思を示すと、あれこれ理屈をこねて退職を引きとめる上司が出てきます。

「今辞めたら、これまでの頑張りが無駄になるけど本当にいいのか?」(ずるい系)
「お前みたいなやつがほかの会社でうまくやれるはずがない」(パワハラ系)
「部署を変更するからもう少し頑張ってみないか」(寄り添い系)
などと、言葉巧みに揺さぶりをかけてくるのです。

 引きとめる言葉が、ずるい系でもパワハラ系でも寄り添い系でも、基本は全て同じ。あなたを会社から辞めさせないための方便です。

 もちろんそこでじっくりと考えて、会社にとどまることも選択肢のひとつですが、こうした言葉に心を揺らして、退職をしない判断をするのは、おすすめしません。

 いざ退職の意思を見せてようやく希望が通るのはとても危険な兆候です。そもそも会社は、あなたが退職を考えるほど苦しんでいることに気づいていなかったのか、あるいは気づいているのに何もしなかったのか、ということになります。なので一時的に業務量を減らしたり、部署異動をしたとしても、それが続くとは考えづらいです。そうなったときに会社への不信感はかなり強まります。

 こう考えると、上司が発する引きとめるための言葉はその場しのぎのものばかりに感じます。