次の一手は、グローバルへの挑戦

徳力 次は、スイスに赴任されるんですよね。

村岡 はい。グローバルメディアコーディネーターとして、グローバルエージェンシーや、FacebookやAmazonなどのグローバルメディアとの条件をつくる仕事です。

徳力 赴任が決まるまでには、どのような経緯があったのですか。

村岡 スイスにいくつかのポジションが空いていたので、いつかは会社として行かせたいと考えてくれていたようですが、今回は面白そうな内容だったのと、いまの私が成長できるポジションだということで声を掛けてくれたようです。

 これまでグローバルな視点で仕事をする機会が少なかったので、その視点を持てるようになりたいと思います。また、日本で培ったことをグローバルでも取り組むつもりです。まずは、1年間の期限付きの出向になるので、その中で一生懸命に取り組みたいですね。

スイス本社に赴任、ネスレの期待マーケター・村岡慎太郎の仕事術徳力氏(左)と村岡氏(右) 提供:Agenda note 

徳力 日本企業のマーケティングは、欧米に比べると遅れているという印象がありますが、ネスレさんに限っていえば、ネスレ日本の方が進んでいる印象がありますよね。

 それこそ社長である高岡浩三さんは、キットカットで新しいフレーバーが許されていなかった中でストロベリー味や抹茶味にチャレンジされたと聞いています。今では世界中の人が日本のお土産として買っていますし、その結果、キットカットの売上がいつの間にか本国のイギリスを抜くという快挙も達成されました。

村岡 そうですね。本社との面接でも、オンラインとオフラインの予算配分のプランニングやレビューの話をしたら、それをグローバルでもしてほしいと言われました。日本で実施しても、グローバルでは行っていないことは、まだまだあると思っています。

 でも、映画『カメラを止めるな!』のスピンオフ作品へのスポンサードなんかは、彼らからしたら、まったく意味が分からないでしょうね(笑)。

徳力 あれは何と言えばいいんでしょう(笑)。ブランデッドムービーなのですが、ブランドのためのコマーシャルではなくて、「カメラを止めるな!」のスピンオフ作品をつくること自体をスポンサードしている感じですよね。あの施策も村岡さんが企画されたんですよね。

村岡 はい、その前にティーン向けに「キットカット」の東京ばな奈味の認知を上げたいという課題があって、当時AbemaTVで話題になっていた番組『オオカミちゃんには騙されない』や『今日、好きになりました。』の出演者を起用して、AbemaTV内でCMを配信したんです。