その後、仲間集めに奔走し、2013年に4人で創業した。

特殊冷凍機の比較販売

 デイブレイクの商社としての強みは、前述のような比較販売に加え、冷凍ノウハウのない顧客に対して、最適な特殊冷蔵機を見つけるためのサポートを徹底している点にある。木下氏は「 “ほけんの窓口”的スタイルで、特殊冷凍機を比較できるのが強み」だと胸を張る。

「冷凍する食材の種類や環境によって、相性のいい冷凍機が違います。メーカーだと自社製品のデータしかありませんが、私たちは比較データを持っている。冷凍のプロである私たちが、中立的な立場で、最適な特殊冷凍機をコンサルティングしています」(木下氏)

 コンサルティングするにあたり、複数の特殊冷凍機を比較することができるテストルームを設けている。顧客はテストルームで、凍結速度や解凍後の品質を直接確認できるのだ。デイブレイクとしても顧客と直接の接点を持てるので、顧客が抱える課題や食品業界の最新情報を吸い上げる貴重な場になっている。

シーズンに関係なく海の幸が食べられる

 特殊冷凍は、シーズンによって価格が変動する食品にも最適だ。例えば伊勢海老は、5~8月が禁漁期間のため4月に仕入れると安価だが、年末になるとおせち料理需要で価格が大きく高騰する。その価格差は数万円にも及ぶ。

「新鮮な海の幸も特殊冷凍すれば、“ほぼ生”の状態に解凍することが可能です。水揚げしたての伊勢海老を特殊冷凍し、適切に保存しておくと、数年たってもお刺身として提供できます。そのため、シーズン関係なく安定した供給も可能です」(木下氏)

 このように特殊冷凍のメリットはたくさんあるが、「食品会社の認知はまだまだ低い」という。木下氏は、「特殊冷凍を視野に入れることで、食品会社の事業は明らかに広がる。もっと知ってもらいたい」と語る。

特殊冷凍を使った新食感フローズンフルーツ

氷屋3代目の“冷凍愛”が生み出した「フードロス」解決法デイブレイクが製造・販売する「HenoHeno」 画像提供:デイブレイク

 特殊冷凍機の専門商社として顧客に寄り添ってきたデイブレイクだが、2019年3月から新事業を開始した。特殊冷凍の技術を駆使した新食感フローズンフルーツ「HenoHeno」の製造・販売だ。

 HenoHenoは、「フードロスを美味しく解決する」をコンセプトに、規格外などが理由で廃棄されていた果物を、特殊冷凍で美味しいフローズンフルーツに作り変え、オフィスや家庭に届けるサービスだ。使用する果物は、すべて純国産・無添加にこだわっている。販売開始から半年が経過した2019年9月時点で、導入実績が100社を突破し、W vetnturesを引受先とする資金調達も実施した。