積極的に挑戦する分、失敗から学ぶことも多い。例えば2019年2月には、バレンタインの時期ということで、スイーツやチョコレートのレシピばかりを載せていった。
「(その施策によって)てっきりフォロワーが急増するかと思ったのですが、むしろ鈍化してしまったんです。それで気付いたのは、クラシルのInstagramをフォローしている人たちはあくまで“日常的に使える時短レシピ”を求めていたということ。流行やトレンドに流されてコアな価値を見失うと、フォロワーが減ってしまうんです」(野村氏)
フォロワーが増えたからこその悩み
国内スタートアップの中ではSNSマーケティングに圧倒的な成功を収めているクラシルだが、今の課題は「SNS全体の戦略担当者が不足していること」だという。
「これだけフォロワーが増えた今、少ないところから地道にフォロワーを増やす時とは別の戦略が必要になってくる。また、TwitterやYouTubeなど、特定の人物に対してファンがつきやすいメディアの場合、企業アカウントは運用が難しいのも悩みです」(野村氏)
創業時から一貫して、見やすくて試しやすいレシピ動画を作り続けるクラシル。SNSごとに分けて、トライアンドエラーを繰り返す、徹底的な“フォロワーファースト”戦略は、分野や業種関係なく、あらゆるマーケティングに通用する考え方だろう。