日本は世界の潮流の中で、EV(電気自動車)シフトに立ち遅れていると言われることがあるが、これは本当なのか。その背景には何があるのか。また、ハイブリッド車が主流の日本では今後、EVシフトはどう進むのか。メーカー、販売店、ユーザーそれぞれの視点から日本のEVシフトを考えた。(ジャーナリスト 桃田健史)
メーカーはESG投資の視点で
ディーラーは“待ちの姿勢”でEVを見ている
トヨタ自動車「プリウス」が、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を受賞した。プリウスは、言わずと知れたハイブリッド車(HV)の王道だ。
日本市場における電動化に関する解釈や今後の予測については、日系メーカー、自動車部品メーカー、大手メディア、アナリスト、そして自動車専門メディアなどで近年、さまざまな見解がある。
そのため、プリウスのCOTY受賞を受けて「世界でEVシフトが加速している最中、日本がまだハイブリッド車が主流では、日本が世界に立ち遅れてしまうのではないか?」という見方をする人がいるかもしれない。
筆者は、初代プリウスが登場した90年代以来、歴代プリウスはもとより、HV、プラグインハイブリッド車(PHEV)、EV、そして燃料電池車(FCV)などさまざまな電動車について世界各地で詳しく取材してきた。
そうした中、直近では、日系メーカー、国内新車販売店、そして日本のユーザー間でEVシフトに対する温度差や捉え方の差があるように感じている。次ページでは、これら3つの視点で、日本市場でのEVシフトについて考えてみたい。