自衛隊施設の中で
最も劣悪レベルの“宿泊施設”

 今回は自衛隊施設の中で、最も劣悪なレベルの施設の実例を写真とともに紹介したい。

 自衛隊内で訓練所や演習地内、屋外訓練時に使われる一時的な宿舎「廠舎(しょうしゃ)」と呼ばれる場所がある。

中部地方の廠舎の外観中部地方の廠舎の外観

「廠舎」とは野外訓練の演習などの際に一時的に宿泊する場所のこと。本来の意味は「四方に囲いのない簡略な造りの小屋」で、「露舎」とも呼ばれる。廠舎は敷地内に複数あり、およそ1000人が一度に宿泊できるものもある。

 小さく区分けされた個室のような部屋もあるが、ほとんどが大部屋で、雑魚寝しかできない。

九州地方の廠舎の外観九州地方の廠舎の外観

 廠舎の老朽化は写真から見てもかなりひどい状況だ。にもかかわらず、これまで改善することなく見過ごされていた大きな理由は、廠舎が訓練時しか使われないこと、および、外部の目が届かない場所にあることだ。

 自衛隊員しか知らない閉鎖空間なので「劣悪な環境も現場隊員たちが我慢すればいいだけ」と放置されてきた。その結果、このような建物が今も使われているのだ。