壁と床にはカビが生え
穴はビニールでふさがれていた
外から見ても崩れ落ちそうな廠舎だが、内部はさらにすさまじい。
壁や床はカビが生え、さびて穴が開いている。一時的にでも、人が居住できそうな場所とは思えない。冷暖房もない吹きさらしの建物で床から上がってくる冷気に震えるしかない。個別にベッドがあればいいが、ほとんどが雑魚寝となる。
さらに、ここでは廃棄処分状態の毛布やしみだらけのマットレスが今も使われている。
冒頭の写真にあるように、内部の壁のべニヤ板はボロボロで、一部が剥がれ落ちている。そこに30~40年間ほど使われ続けていると思われる自衛隊毛布が積み上げられている。これを敷いて、その上に寝袋やシーツ等を重ね、隙間風に耐えながら就寝するのだ。
次に廠舎内部の通路を見ると、ブロックを積んだ躯体にはヒビが入っている。
この写真の上部に注目してみると(下写真)、天井と壁の角度が大きくゆがんでいるようにもみえる。
一般的に、雇用者は労働安全衛生法で「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに「快適な職場環境を形成する」ことが義務付けられている。
しかし、自衛隊は労働基準法や労働安全衛生法などの「適用除外」だ。このような劣悪な環境で自衛隊員を宿営させても違法ではない。
こうした廠舎の惨状を見ると、国防に身をささげる自衛官に対する敬意は、まるで感じられない。自衛隊に入隊してほしいという前に、迎える側が果たしてこれでいいのか? 大切な隊員たちのために、今一度、職場環境を見直していただきたい。