テーマ年表から昔のシーンが見える
史跡や人物記念館のパンフレットには、よく年表が載っています。これをノートに貼って、たまに読み返したりしていると発見があっておもしろいものです。「もともとは今とは別の場所に建っていた」とか「有名な武将がお参りした」とか、イマジネーションをかき立てる記述があったりします。
また、このようなテーマ年表は、日本史年表と組み合わせたりしてみると、いろんなことが見えてきます。たとえば、僕の好きな人物に幕末の探検家、松浦武四郎がいます。彼は大塩平八郎や吉田松陰、勝海舟など、有名人とたくさん交流したことでも知られています。
三重県松坂市の松浦武四郎記念館でもらった彼の年譜には、1834年、17歳のころ「全国各地を巡る放浪の旅」と書いてあります。このとき大阪で大塩平八郎に会っているわけですが、ところで「大塩の乱」っていつだったっけ?と日本史年表を見てみると、1837年。なんと、大塩の乱が起こるわずか3年前に17歳の松浦が会っているわけです。その後、松浦は26歳まで放浪を重ねているから、きっと旅の途中で大塩の乱の話を知ったのでしょう。
大塩が貧民救済のため反乱を起こして死んだ、と聞いたとき、20歳そこそこの彼は何を思っただろう?その後、彼が北海道に渡り、アイヌ民族を助けたことにも大塩の生き方が影響しているのではないか?こういうことを考えたりできるわけです。
これが正しいかどうかは、誰にもわかりません。ただ、正しい歴史を学ぶより、昔の人の姿を生き生きと思い浮かべたり、自分だけの仮説を立てたりして「歴史学ごっこ」をするほうが、ずっと自由で、おもしろいと思います。