実は、この話は、インボイスに限らず、これまでも同様でした。クレジットカードの明細書だからといって、税務調査でその経費を却下されるとは限りません。
ただし、証拠を集めておき、却下される可能性は減らしておきましょう。「うちみたいな小さなところに税務調査なんて来ない」と思ってはいけません。売上1000万円以下でも税務調査はありえます。税務調査が入らないから適当でいいというものでもありません。
また、経理でお金の使い方を把握するためにも、把握のタイミングが遅くなるクレジットカードの明細書よりもレシート等で記録するのがおすすめです。
ただ、納める消費税を原則課税で計算する場合は、事情が違ってきます。原則課税とは、納める消費税を売上と経費の両方で計算する方法です。その場合、経費の消費税の証拠も厳しく求められます。これもインボイスの前後に限らず、守らなければいけないことでした。
この場合、クレジットカードの明細書だけで他の証拠がないということで税務調査で却下されているケースもあります。さらに、インボイス後は、インボイスの登録番号をはじめ、法律に即した証拠が必須です。クレジットカードの明細書では、その証拠になりません。原則課税の場合は、クレジットカードの明細書ではなく、利用したお店が発行するインボイス(適格請求書)が必要です。
消費税が免税、簡易課税(売上の消費税のみで計算)、2割特例ではなく、原則課税であれば、クレジットカードで払った経費の証拠には十分な注意を払ってください。
(本原稿は『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』を一部抜粋し、追加加筆を行ったものです)