「任せる」という言葉に隠れた「上司の奢り」
佐宗 そこまでフラットさを徹底していくと、たとえばある施設は総支配人にすべて任せて自由に運営してもらうようなかたちになっていくんでしょうか?
星野 いえ、そうはなりません。本当の意味でフラットな組織になると、むしろ「任せる」という意識はなくなります。「任せる/任せない」というのは上下関係があってこそ成り立つ考え方だと思います。
佐宗 たしかにそうですね。
星野 フラットな組織では、たとえばあるサービスに関して議論するとき、みんながそれぞれの意見を自由に言います。私も一つの意見として「これはお客様にあまり受けないと思うよ」と伝えることもある。最終的に私の意見を取り入れるかどうかは、実行する人が自分で考えるしかありません。私の意見を取り入れたとしても、成果が出なければそれは実行した人の責任になる。
佐宗 そういう意味では、フラットな組織というのは厳しい部分もあるんですね。
星野 そのとおりです。上から言われたとおりにやればいいのであれば、こんなに楽なことはありません。でも星野リゾートでは、結果に対する責任を自分でとらなければいけません。お客様はどう思うのか、マーケットはどう動くのか、コストコントロールはどうするかを、自分で判断しなければいけない。
佐宗 なるほど。これが、フラットな組織文化があってこそ、自分の頭で考える社員が育つというお話につながるわけですね。納得がいきました。次回は、今後の星野リゾートのビジョンについてお聞かせください。
(次回に続く)