「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
なりゆきで一緒に帰ることになった気まずい時間をどうする?
会社を出て駅のホームに行くと、上司とばったり。なりゆきで一緒に帰ることになったものの、なんだか気まずい……。
そんな雑談タイムをどうしのぐか、困る人は多いのではないでしょうか?
こんな時、意外と使えるのが、前回、説明した、事実を具体化する時の基本「5W3H」です。
ポイントは、自分からは無理に話さず、相手の言語化を促すために使うこと。
5W3Hで相手から話を引き出し、相づちを丁寧に打ちながら、時々肯定的な言葉を投げかけると会話が弾みます。
では、ためしにやってみましょう。
上司との雑談:実践例
上司:そういえばこの間、投資セミナーに行ったんだよ。
あなた:投資セミナーですか? いいですね。いつ行かれたんですか?(いつ=When)
上司:先週の土曜日。いや、あれは結構ためになったなあ。
あなた:テーマは何だったんですか?(何=What)
上司:老後の2000万円を確実に貯める方法。
あなた:そんな方法があるんですか? 知りたいです。
上司:うん。まぁ、結局は投資しようって話なんだけどね。
あなた:投資ですか。どうすればいいんですかね。自分は知識が乏しくて。(どうすれば=How)
上司:最初はやっぱりNISAがいいみたい。
あなた:毎月、いくらから始めればいいんでしょう。(いくら=How much)
上司:3万って言ってたな。
あなた:あっ、確かNISAの制度が新しくなるんでしたっけ?
上司:そうそう。だから早速、僕も始めてみたよ。
あなた:さすが行動が早いですね。それにしてもどうして投資セミナーに行こうと思われたんですか?(どうして=Why)
上司:大学時代の友達に誘われたんだよね。
あなた:そうなんですね。自分も行ってみようかな。どこでやってるんですか?(どこで=Where)
上司:神田。え~っと、会社のURLを送るよ。
このように、「5W3H」は意外と多くの場面で活躍します。
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。