「相手がちゃんと話を聞いてくれない」「伝えたいことが全く伝わっていなかった」とガッカリしたことはありませんか?ビジネスでもプライベートでも、相手に興味を持って話を聞いてもらうのはとても重要。そのためのコツが「物語(ストーリー)で相手の感情をゆさぶること」なのです。書籍『頭のいい人の対人関係 誰とでも対等な関係を築く交渉術』の著者が、ストーリー・テリングのコツを紹介します。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)
相手が興味を持って聞いてくれない、話を理解してくれない
「話が堅苦しい」
「淡々としてつまらない」
「眠たくなってしまった」
プレゼンや提案をした際に、聞き手からこういった感想を言われたり、書かれたりしたことはないでしょうか。内容を伝える以前の段階で、聞き手は上の空。聞いているように見えて、実際はこちらの話にちっとも興味関心を示してくれない。自分の話で聞き手を惹きつけることができず、苦労した経験はありませんか?
私は塾や予備校で講師として、20年以上教壇に立ち、なかなか受験勉強に興味を示してくれない生徒たちに理系科目の指導をしてきました。寝落ちする生徒、途中で教室から出て行ってしまう生徒、講義の後に質問に来てくれたと思ったら、最も力を入れて解説したはずのポイントを聞く生徒……“自分の話が伝わっていなかった経験”をたくさんさせてもらいました。
予備校を独立し、研修講師になってからは、聞き手が生徒から社会人に変わりました。クライアントのもとに提案資料を持ち込み、プレゼンや交渉などの営業活動を行う日々。寝落ちする人、退席する人はさすがにほとんどいませんが、「伝わっていないな……」と感じて落ち込むことは珍しくありません。
教壇でも会議室でも応接室でも、最も苦労するのは、相手にこちらの話を聞いてもらうこと。それも関心を持って前のめりに聞いてもらうことです。特に、こちらの話す内容や商品サービスについて、相手の興味が乏しかったり、話が複雑だったりした場合、話を聞いてもらえないことが増えていきます。
相手にとって興味のないことや難易度の高い内容でも耳を傾けてもらうにはどうしたらいいのか? 私はその方法を徹底的に考え、話し方のスキルを磨いていきました。