民進党の現職立法院長は
中国から干渉が強まることを危惧
一方、政権を維持した民進党は、1月29日、正式に現職の立法院長・游錫堃氏と副院長・蔡其昌氏を候補者とすることを決定しました。
それ以前の1月20日、游錫堃氏は記者の取材に対して、立法院長の立場や姿勢などを語りました。その中で、同氏は、「自分は中国共産党が嫌いな立場であり、中国共産党は自分を『頑固な台湾独立工作者』にリストアップしているが、中国共産党に干渉されることは恐れていない。だから、2020年に立法院長に就任後、コロナ禍でも諸外国議員や訪問団などとの交流を盛んに行ってきた。しかし、もし新たな立法院長が選出され、中国共産党から電話で中国と国交がある国に行くことを止められたり、中国に招待されたりしたらどうするのか」と親中の政党候補者が選出されることへの危惧を強調していました。
第2野党・民衆党は
内部分裂で足踏みそろわず
第2の野党・民衆党に関しては、民進党か国民党のどちらかと連立に関与する可能性は低く、内部分裂も予測されます。今回の総統選挙前に、国民党との連立野党合意が破綻したこと、2014年「ひまわり学生運動」の際に民進党側に立ったことなど、党首の柯文哲氏はその時々で立場を変えてきたからです。そのため、民衆党としても立法院長・副院長候補を擁立する必要が出てきました。
まずは、時代力量(※)の党首から民衆党にくら替えして今回当選した黄国昌氏と黄珊珊氏がその候補となるかのように、民衆党は動き始めています。黄国昌氏は、台湾独立思想であり、時代力量の立法委員時代には立法院でも疑惑の追及の手を緩めず、弁護士としての有能さを発揮していました。ただ、黄珊珊氏は民衆党と親民党(※※)との二重党籍が解消されない限り、今回の民衆党比例区での当選が無効になる恐れを指摘されています。
一方、民衆党党首の柯文哲氏は親中派で、「世界に二つの中国はない」と明言している立場。保身のため、今回立法委員選挙で落選した蔡壁如氏(元立法委員・前台北市長事務所主任)を呼び戻して対抗しようとしています。しかし、黄国昌氏も黄珊珊氏も2026年の台湾の県市長選への出馬も視野に入れ、その存在感をアピールしています。ここからも、民衆党が既に内部分裂を起こしていることがうかがえます。
※時代力量…2015年に成立した、台湾の政党
※※親民党…2000年に成立した、台湾の政党