「日本を代表する企業」であれば、負の側面も集約される

「朝日新聞デジタル」(23年12月29日)も指摘しているが、ダイハツの不正が始まったという1989年以降、同社の歴代会長・社長12人中、トヨタ出身者が8人もいる。

 買収などで巨大グループの子会社になった経験のある人はわかると思うが、親会社から派遣された経営陣は、最初は「これまで通りみなさんのやり方でやってください」と寛容さと自由度をアピールする。しかし、次第にコーポレートガバナンスの名のもとに、「親のやり方や思想」を現場に押し付けるものだ。

 今回、トヨタグループの「源流」である豊田自動織機に不正が見つかった。そして、同じような不正は「統治先」である子会社でも見つかっている。親と子の力関係的やトヨタ出身経営者の多さを踏まえれば、不正が当たり前であった「親」の影響を受けて、「子」の不正カルチャーが脈々と育まれていった――と考えるのが自然ではないか。

 30日の会見で、豊田章男会長は「トヨタにものが言いづらい」という空気があったことを認めた。特別調査委員会の報告書でも、開発遅れの懸念を上司に相談しても「『何とかしろ』と言われる雰囲気があった」との声が記載されている。これはダイハツやビッグモーターでも明らかになって、マスコミが大騒ぎした「恐怖支配」「ブラック企業体質」と丸かぶりだ。

 何かにつけて、マスコミはトヨタを「日本を代表する企業」と称賛している。が、日本を代表する企業ということは、裏を返せば、日本企業の負の側面を代表するような「組織の病」を抱えている可能性も高いということだ。

 神戸製鋼、東芝、三菱電機などこれまで日本を代表する「ものづくり企業」で数十年単位に及ぶ不正体質が明らかになっている。ならば、「日本代表をする企業」でも同様の問題が起きていてもおかしくない。

 そこをしっかりと問いただして、近年多発する不正問題の根っこを浮かび上がらせることこそが、立派な報道機関やらジャーナリストのみなさんがやるべきことのような気もする。

「問われている」という腰が引けた姿勢はそろそろやめて、今こそ日本企業のどこに病巣があるのか、トヨタグループに厳しく「問う」べきではないのか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)