大阪万博の経済効果は2兆~3兆円に上るという試算が、ある組織から発表された。そして、メディアがその数字を拡散しているが、これをうのみにしてはいけない数多くの理由をお伝えしたい。(イトモス研究所所長 小倉健一)
大阪万博の経済効果は3兆円超の試算も
「開催にはメリット」は本当なのか?
大阪・関西万博を巡って、高騰するコストを打ち消すように、莫大(ばくだい)な経済効果が発表されている。これまでも東京オリンピック・パラリンピックやさまざまな大型イベントなどで「ムダ遣い」という批判が起きるたびに「多大なる経済効果のメリット」を前提にプロジェクトは推進されていった。
一般財団法人アジア太平洋研究所が、1月24日に発表した「大阪・関西万博の経済波及効果」によれば、経済波及効果が「基準ケース」で2兆7457億円になるという。さらに、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定し、リピーター増を考慮した「拡張万博ケース2」では3兆3667億円まで膨らむという試算結果を発表している。
他方、NHK『大阪・関西万博 国費総額1647億円 今後追加費用も 全体像公表』(2023年12月19日)によると、政府が発表した大阪万博の費用の内訳は以下の通りだ。