また政治家の多くは、大きなイベントの開催について、交通網のインフラなどを拡張、改善する機会として捉えることも多い。

 今回の大阪万博では、最先端の技術が紹介されるという宣伝がされているようだ。コンセプトは「未来社会の実験場」ということらしい。

 過去にオリンピックが開催された都市でも、経済効果がうまく上がらなそうなことが分かってくると、開催の目的が「(経済的発展を見せつける)国威発揚の場」などと論点がすり替えられていった。日本においても東京オリンピックは「(東日本大震災からの)復興のシンボル」と位置付けられた。東京オリンピックのどこが復興のシンボルだったのか、覚えている人はあまりいないかもしれない。

 今回の大阪万博には、そんな壮大なテーマはない。朝日新聞(2023年11月6日)の記事でインタビューを受けていた万博の研究者である京都大学大学院の佐野真由子教授(文化政策学)によれば、「時代を活写するのが万博の役割で、日本をアピールし、経済を上向かせる巨大イベントと考えるのは『目的違い』」だという。そして、「万博の期間中に『いのち』について考え、ものの見方が変わった――。来場者らがそんな経験をできれば、万博は成功したと言えると思います」と語っている。

 この教授の言っていることはさっぱり訳が分からないが、一人の納税者としては、まずは投じた税金を上回る経済的な利益を得られるかどうかが最大の争点だと考えている。

大阪万博の経済効果を算出するのに
「ふさわしい組織か?」という疑問符

 それを考える上での第一の問題として、経済効果の算出では、負の要素があることは一切取り扱わないということだ。

 それっぽい研究団体や研究者が、経済効果を測定するケースが目立つが、経済効果の額を多めに発表した方が、イベントを開催する既得権益者たちにとって歓迎されることを考えても、中立性の問題が取り沙汰されるべきだ。今回のアジア太平洋研究所のホームページで会員名簿を見ると、大阪万博にカネを出す企業たちが会員として名を連ねているのが分かる。この組織は、公平な経済効果を算出するにふさわしいといえるのだろうか。