京成電鉄京成本線の起点である京成上野駅が昨年12月10日、開業90周年を迎えた。今では押上線と比べて本線は地味な印象だ。しかし、かつて上野への乗り入れは、京成電鉄にとって悲願であり、その実現に至るまでには、さまざまな苦難があった。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
押上方面より存在感が薄い
京成電鉄の「本線」
京成電鉄は1月31日から3月13日まで、「京成上野駅開業90周年記念乗車券」を京成上野、日暮里、押上など主要20駅で限定販売する。乗車券は京成上野から1050円区間と850円区間の2枚セット(1900円)で、かつて電車の先頭に掲げられていた行き先表示板デザインのマグネットシートが付属する。
上野・押上から千葉・成田空港方面を結ぶ京成だが、本線であるはずの京成上野~青砥間は、スカイライナーが走る以外は存在感が薄い。スカイライナーにしても、京成上野・日暮里~空港間は無停車だったのが、2020年以降は途中駅からの需要を重視して一部列車を青砥、新鎌ヶ谷に停車させるようになり、上野色は薄まっている。
通勤電車にしても同様だ。例えば京成高砂駅の朝7時台上り方面の時刻表を見ると、押上方面が16本、上野方面が13本だが、快速特急など優等列車は押上方面が10本に対し、上野方面は3本に過ぎない。