京成電鉄は10月31日、子会社の新京成電鉄を2025年4月に吸収合併することを発表した。終戦直後の1946年に設立された新京成電鉄の「80年の歴史」とは。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
経営の効率化などを目指し
新京成電鉄を吸収合併
京成電鉄は10月31日、新京成電鉄を2025年4月に吸収合併することを同日の取締役会で決議したと発表した。もっとも京成は昨年9月1日に新京成の全株式を取得して完全子会社化しており、合併が業績に与える影響はほとんどない。
完全子会社化にあたって京成は「千葉県北西部における事業基盤の強化および地域活性化」、「経営資源の相互活用による競争力強化および事業規模の拡大」、「スケールメリットを生かした効率的な協働体制の実現」といったシナジー効果を目的に掲げていたが、さらなる経営の効率化・意思決定の迅速化を図るため合併に至ったと説明する。
新京成を独立した事業部のような形にするのか、本社機能の統合を考えているのかを尋ねたが、合併後の体制は今後検討していくとした。
合併後も現行の運行形態を継続し、京成線と独立した運賃体系(一部区間で乗り継ぎ割引の設定あり)も据え置く。同じ会社の路線でありながら運賃体系が異なるのは違和感があるが、京成には既に事実上の別運賃の路線として、子会社の千葉急行電鉄(1998年に清算)から引き継いだ千原線、北総線京成高砂~印旛日本医大と線路を共有する成田空港線(成田スカイアクセス線)がある。
沿線外の人から見ると、京成電鉄と新京成電鉄が存在することは不思議に映るかもしれない。京成以外に「○○電鉄」と「新○○電鉄」が併存した事例は、「京阪電鉄」が戦前に設立した「新京阪電鉄」がある。古くからのまち沿いを走るカーブが多い京阪本線に対し、直線的で高速運転が可能な新線として建設したもので、現在の阪急京都線である。
新京阪が阪急線になった歴史的な経緯は長くなるので省くが、新京成は京成線以上にカーブの多い、のどかな路線であり、関係は対照的だ。むしろ京成本線を短絡する成田スカイアクセス線が、新京阪的な意味での「新京成」と言えるかもしれない。