欧州にとっては屈辱的な時期だ。昨年末には米国が好景気に沸く中、かろうじて景気後退を免れた。人工知能(AI)では米国に、電気自動車(EV)では中国に後塵を拝する。それでも欧州連合(EU)が世界をリードしている分野が一つある。規制だ。企業合併、炭素排出、データプライバシー、電子商取引(EC)の競争に関する規制基準を設けたEUは、次はAIに照準を合わせている。昨年12月には、AIの一部利用を禁じ、その他の利用も厳しく規制し、違反者には巨額の制裁金を科すという包括的なAI規制法案を発表した。EUの執行機関である欧州委員会は、対話型AI「チャットGPT」を手掛ける米オープンAIと米マイクロソフトの提携を、EU合併規則の調査対象とする可能性がある。